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問い合わせ対応自動化の手順とポイント|AIから外注まで徹底解説

問い合わせ対応自動化の手順とポイント|AIから外注まで徹底解説

公開日:2026年2月10日

問い合わせ件数の増加や人手不足によって、業務効率と対応品質の両立が求められる企業が増えています。本記事では、問い合わせ対応自動化を検討する担当者向けに、実践的な手順を分かりやすく解説。AIツールやIVR、FAQシステム、RPA、アウトソーシングの特徴や導入ステップ、注意点を押さえ、適切な仕組みを計画・選定するサポートをします。

 

 

目次

1.問い合わせ対応の基本と課題整理

– 問い合わせ対応の種類と特徴理解

– 問い合わせが増加する背景と影響

– 対応品質と業務負担のバランス課題

2. AIを活用した問い合わせ対応の自動化

– チャットボットとボイスボットの違い

– AIによる自然言語処理活用事例

– AI導入のメリットと注意点

3.問い合わせ対応自動化の具体的な手順1:現状分析と準備

– 問い合わせデータの収集と分類

– 課題と対応すべきポイントの洗い出し

– 自動化対象と有人対応の範囲設定

4.問い合わせ対応自動化の具体的な手順2:ツール選定と導入計画

– AI・IVR・FAQ・RPAなどから適切な選択

– 導入コストと運用体制の検討

– 外部パートナー活用の検討と連携方法

5.IVRやFAQシステムを活用した効率化のポイント

– IVRの適用ケースと効果的設計

– FAQの整備・更新と検索性向上

– ツール連携による一体運用

6.RPAやアウトソーシングによる後処理と人的負担軽減

– RPAでの定型業務自動化事例

– アウトソーシングの活用場面と注意点

– 人とシステムの連携で実現する最適運用

7.効果測定と運用改善の手順

– 対応品質や対応件数のモニタリング方法

– ユーザーフィードバックの活用

– 継続的なFAQやシナリオの見直し

8.よくあるトラブルと対策

– 自動化できない問い合わせへの対応策

– システム障害時のリスク管理

– 従業員教育と運用定着の工夫

9.自動化成功事例と実践へのアドバイス

– 導入企業の実際の効果紹介

– 中小企業での低コスト活用法

– ステップ別の導入計画例

10.まとめ:問い合わせ対応自動化の手順と成功のポイントまとめ

1. 問い合わせ対応の基本と課題整理

カスタマーサポートやヘルプデスクにおける「問い合わせ対応」は、企業の信頼性を左右する重要な接点であると同時に、運用コストや属人化の問題を抱えやすい領域です。自動化を検討する前に、まずは現状の全体像と直面している課題を正しく整理する必要があります。

問い合わせ対応の種類と特徴理解

問い合わせ対応は、大きく分けて「インバウンド(受信)」と「アウトバウンド(発信)」がありますが、自動化の主な対象となるのはインバウンド対応です。これらはさらに、以下の3つのレイヤーに分類されます。

  • 定型的な質問(FAQレベル): 「営業時間は?」「パスワードを忘れた」といった、回答があらかじめ決まっているもの。
  • 手続き・照会業務: 「注文状況を確認したい」「住所を変更したい」など、基幹システムとの連携が必要なもの。
  • 複雑な相談・クレーム: 「製品が動かない」「サービスに不満がある」など、状況の切り分けや感情的な配慮が必要なもの。

それぞれ対応にかかる時間や求められるスキルが異なり、自動化に適した領域を見極めることが重要です。

問い合わせが増加する背景と影響

現代において問い合わせ数が増加している背景には、顧客接点(チャネル)の多角化があります。電話やメールだけでなく、SNS、Webチャット、アプリ内メッセージなど、顧客が気軽に連絡できる手段が増えたことで、総数自体が膨れ上がっています。 問い合わせの増加は、単なる現場の多忙に留まらず、以下の悪影響を及ぼします。

  • 応答時間の遅延: 顧客を待たせることで満足度が低下し、解約リスクが高まる。
  • 対応漏れ・ミスの発生: 余裕のない運用は、誤案内や二重対応などのヒューマンエラーを誘発する。
  • 機会損失: 購買検討中の顧客からの質問に即座に答えられないことで、売上の機会を逃す。

対応品質と業務負担のバランス課題

多くの企業が直面しているのが「品質(Q)」、「コスト(C)」、「スピード(D)」のトレードオフです。手厚い有人対応を徹底すれば品質は上がりますが、人件費が膨らみ、ピーク時には待ち時間が発生します。逆にコストを抑えようと人員を減らせば、スピードと品質が犠牲になります。 この限界を突破するためには、人間が対応すべき「付加価値の高い業務」にリソースを集中させ、それ以外の「定型業務」をいかにテクノロジーで代替できるかが、現代のカスタマーサポート戦略の核心となります。

2. AIを活用した問い合わせ対応の自動化

近年、AI技術の飛躍的な向上により、単なる自動応答を超えた「人間らしい対話」による自動化が可能になっています。ここでは主要なAIソリューションの役割と特徴を整理します。

チャットボットとボイスボットの違い

デジタル接点での自動化を担うのが「チャットボット」、音声接点(電話)での自動化を担うのが「ボイスボット」です。

  • チャットボット: WebサイトやLINE上でテキストベースのやり取りを行う。24時間365日の即時対応が可能。画像やリンクを送れるため、視覚的な案内(設置マニュアルの送付など)に強い。
  • ボイスボット: AIが電話口で音声を認識し、合成音声で回答する。キーパッド操作を強いる従来のIVR(自動音声応答)と異なり、「解約したい」といった発話を直接理解して処理を進められるため、顧客のストレスが少ない。

AIによる自然言語処理(NLP)活用事例

生成AIやLLM(大規模言語モデル)の登場により、自然言語処理の精度は劇的に進化しました。

  • 意図解釈(インテント抽出): 「スマホが壊れた」という発言から、修理が必要なのか、買い替えたいのかという真の目的を推測する。
  • 感情分析: 文章のトーンから顧客の怒りや焦りを検知し、深刻なケースは即座に有人オペレーターへエスカレーションする。
  • 自動要約: 長いメールや対話記録をAIが要約し、引き継ぎやナレッジ蓄積を効率化する。

AI導入のメリットと注意点

AI導入の最大のメリットは、24時間対応による顧客満足度の向上と、オペレーターの精神的・肉体的負荷の軽減です。単純な質問をAIが処理することで、オペレーターはより高度なコンサルティング業務に集中できます。 一方で、注意点もあります。AIは「学習データ」に依存するため、最初の設定だけで完璧に動くわけではありません。また、誤った回答(ハルシネーション)のリスクを考慮し、回答の根拠を特定のFAQデータに限定する(RAG構成)などの技術的な工夫が必要です。

3. 問い合わせ対応自動化の具体的な手順1:現状分析と準備

自動化プロジェクトの失敗の多くは、ツールの導入が目的化し、現場のニーズと乖離することに起因します。成功の鍵は、徹底した「現状の棚卸し」にあります。

問い合わせデータの収集と分類

まずは、過去3ヶ月〜1年分の問い合わせログ(通話録音、メール履歴、チャットログ)を収集します。これらを「質問内容別」「チャネル別」「属性別(既存客/新規客)」に分類し、ボリュームゾーンを特定します。

  • パレートの法則: 多くの場合、全問い合わせの20%の項目が、全体の80%のボリュームを占めています。その20%を自動化するだけで、絶大な効果が得られます。

課題と対応すべきポイントの洗い出し

単に数が多いだけでなく、「一件あたりの対応時間が長いもの」や「オペレーターが精神的に消耗しやすいもの」を特定します。 例えば、「配送状況の確認」は件数が多い割に、システムを見れば誰でも答えられる定型業務です。これを自動化の優先ターゲットとします。逆に「複雑な技術トラブル」は件数が少なくても高い専門性が必要なため、自動化よりも「FAQ記事の充実による有人対応の支援」が適しています。

自動化対象と有人対応の範囲設定

すべての問い合わせを自動化しようとするのは現実的ではありません。

  • AIが完結させる範囲: 定型的なQ&A、資料請求、住所変更受付。
  • 人間が担当する範囲: 解約阻止の交渉、重大な苦情、VIP顧客への個別対応。 このように「守備範囲」を明確にし、AIで解決できなかった場合にいかにスムーズに有人へ引き継ぐか(ハイブリッド運用)の設計をこの段階で行います。

4. 問い合わせ対応自動化の具体的な手順2:ツール選定と導入計画

分析が終われば、最適なテクノロジーの組み合わせを選択します。単一のツールで全てを解決しようとせず、複数の機能を連携させることが重要です。

AI・IVR・FAQ・RPAなどから適切な選択

  • IVR(自動音声応答): 電話の一次受付。適切な部署へ振り分ける。
  • FAQシステム: 顧客が自己解決するためのナレッジベース。
  • チャットボット/ボイスボット: 対話型の自動応答。
  • RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション): 応答後の「後線業務(システムへの入力など)」を自動化する。

例えば、ボイスボットで受付を行い、その裏側でRPAが顧客情報を検索・更新するという組み合わせにより、フロントからバックエンドまでの完全自動化が実現します。

導入コストと運用体制の検討

初期費用(導入費)だけでなく、月額費用や「メンテナンスコスト」を見積もる必要があります。AIチャットボットの場合、新製品の発売に合わせて回答シナリオを更新する「AIトレーナー」の役割が必要です。これを社内で行うのか、外部に委託するのかを含めた運用体制を構築します。

外部パートナー活用の検討と連携方法

自社にITリソースが不足している場合、導入実績が豊富なBPOベンダーやSaaS提供企業のコンサルティングを活用すべきです。特に「他社がどの程度自動化に成功しているか」というベンチマークデータを持つパートナーとの連携は、現実的な目標設定に寄与します。

5. IVRやFAQシステムを活用した効率化のポイント

最新のAIに目が行きがちですが、既存のIVRやFAQシステムの「再設計」こそが、最も即効性のある効率化手段となるケースが多いです。

IVRの適用ケースと効果的設計

従来のIVR(「〜の方は1番を…」)は、階層が深すぎると顧客の不満を招きます。

  • ショートカット設計: 頻度の高い用件(例:再配達)は最初のガイダンスで案内する。
  • ビジュアルIVRへの誘導: 音声ガイダンスの途中で「URLをSMSで送るので、Webから手続きしてください」と案内し、電話からWebチャットやフォームへ誘導(チャネルシフト)させることで、呼量を劇的に削減できます。

FAQの整備・更新と検索性向上

最強の自動化は「顧客が問い合わせる前に自己解決すること」です。

  • ヒット率の改善: 顧客が使う言葉(「壊れた」ではなく「つかない」など)をキーワードに含める。
  • コンテンツの鮮度: 問い合わせログから「まだ回答がない質問」を特定し、週単位でFAQ記事を追加する。
  • 動画の活用: テキストでは伝わりにくい操作方法を動画で解説することで、自己解決率が飛躍的に高まります。

ツール連携による一体運用

FAQシステムをチャットボットのデータベースとして共有する「一元管理」が理想的です。チャットボットがFAQ記事を引用して回答し、解決しなかった場合はそのログを持ったままオペレーターに繋ぐ。この一連の「データ連携」が、顧客に二度同じことを説明させないストレスフリーな体験(CX)と、オペレーターの作業効率化を同時に実現します。

 

6. RPAやアウトソーシングによる後処理と人的負担軽減

問い合わせ対応の自動化において、フロントエンド(顧客との接点)の改善と同じくらい重要なのが、バックエンド(後処理業務)の効率化です。チャットボットや電話で受け付けた内容を、最終的に基幹システムに入力したり、関連部署へ連携したりする作業に時間がかかっていては、真の「人的負担軽減」には繋がりません。ここでは、RPAとアウトソーシングを組み合わせた後処理の最適化について解説します。

RPAでの定型業務自動化事例

RPA(Robotic Process Automation)は、パソコン上で行われる定型的な操作を自動化するツールです。問い合わせ対応においては、オペレーターが顧客と話した後の「事務作業」を劇的に短縮します。

  • 顧客情報照会と名寄せ: 問い合わせが入った際、電話番号やメールアドレスをフックに複数のデータベース(CRM、受注管理システム、配送システム)を検索し、顧客の過去の履歴を一覧化してオペレーターの画面にポップアップさせます。これにより、ヒアリング時間を大幅に短縮できます。
  • 事後入力の自動化: オペレーターがチャットログに残した情報を、RPAが自動的にCRM(顧客関係管理システム)へ転記します。また、住所変更や解約受付などの事務手続きを、RPAが基幹システムへ直接反映させることで、転記ミスを防ぎつつ、処理時間をゼロに近づけます。
  • サンクスメール・確認メールの自動送信: 対応終了後、内容に応じた適切なフォローアップメールをRPAが生成・送信します。

アウトソーシングの活用場面と注意点

すべての業務をテクノロジーで解決しようとするのではなく、外部のリソース(BPO:ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を活用するのも戦略的な選択です。

  • 活用場面:
    • 深夜・休日対応: 自社で24時間体制を構築するコストを抑えたい場合。
    • 期間限定の増員: 新製品発売時やキャンペーン期間中など、一時的な呼量のスパイク(急増)に対応する場合。
    • 単純な一次受付: 専門性の低い初期対応を切り出し、自社の熟練オペレーターを高度な判断業務に専念させたい場合。
  • 注意点:
    • ナレッジの流出: 業務を外部に丸投げすると、顧客の声(VOC)が社内に届かなくなり、製品改善のヒントを失う恐れがあります。定期的なレポートラインと情報共有の仕組みが不可欠です。
    • 品質のコントロール: 自社と同等のクオリティを維持するため、詳細なマニュアル(SOP)の共有と、定期的なモニタリング・研修の実施が求められます。

人とシステムの連携で実現する最適運用

理想的な運用は「AI・RPAが土台を作り、人間が最後の判断とホスピタリティを加える」というハイブリッドな形です。 例えば、ボイスボットが一次受付を行い、RPAが顧客の契約ステータスを確認。その情報を揃えた状態で人間(オペレーター)に繋ぎ、人間は「顧客の感情に寄り添った解決」だけに集中する。このように、テクノロジーが「作業」を担い、人間が「対話」を担う分業体制を敷くことで、従業員のエンゲージメント向上と顧客満足度の最大化を両立できます。

7. 効果測定と運用改善の手順

自動化ツールは導入して終わりではありません。むしろ、導入後の「チューニング」が成果の8割を決めると言っても過言ではありません。データに基づいた継続的な改善サイクルを回す必要があります。

対応品質や対応件数のモニタリング方法

まずは、定量的なKPIを設定し、週次・月次でモニタリングします。

  • 自動完結率(Deflection Rate): チャットボットやFAQで、人間の手を借りずに解決した割合。これが高いほど、自動化の恩恵を受けていると言えます。
  • 有人接続率: 途中で「オペレーターと話したい」と切り替えられた割合。ここが高い場合は、ボイスボットのシナリオやIVRの階層が複雑すぎる、あるいは回答が不十分である可能性があります。
  • 平均対応時間(AHT): RPA導入前後で、後処理を含めた全体の対応時間がどれだけ短縮されたか。
  • NPS(ネットプロモータースコア)/ CSAT(顧客満足度): 自動化によって顧客体験が悪化していないか、アンケートを通じて定点観測します。

ユーザーフィードバックの活用

数値データだけでは見えない「顧客のストレス」を可視化します。

  • 「役に立たなかった」ボタンの分析: FAQやボットの回答に対し、「いいえ(解決しなかった)」が押された箇所を重点的に分析します。そこには「言葉の定義のズレ」や「情報の不足」が隠されています。
  • フリーワード検索のログ: 顧客が検索窓に入力したものの、該当する結果が出なかったキーワード(検索漏れワード)を抽出します。これは、顧客が今まさに求めている情報の「リスト」そのものです。

継続的なFAQやシナリオの見直し

モニタリング結果をもとに、以下の改善アクションをルーチン化します。

  1. 回答シナリオの修正: AIの誤認が多いフレーズを学習させたり、長すぎる説明文を簡潔な表現に書き換えたりします。
  2. 新着FAQの追加: トレンドや新製品に合わせた項目を、現場のオペレーターからの報告に基づき即座に反映させます。
  3. UI/UXの改善: ボットのボタン配置や、FAQのカテゴリ構造を見直し、顧客が「3クリック以内」に答えに辿り着けるよう導線を磨き続けます。

8. よくあるトラブルと対策

自動化への過度な期待は、トラブルの元になります。予期せぬ事態に備えた「守りの設計」が、システムの信頼性を担保します。

自動化できない問い合わせへの対応策

AIや自動応答が万能でないことを前提にした設計が必要です。

  • エスカレーション・ルールの明確化: 「3回同じ質問が繰り返された場合」「激しい感情表現(怒りなど)を検知した場合」は、AIが即座に謝罪し、有人オペレーターへ優先的に接続するプログラムを組み込みます。
  • 「わからない」ことを認める: 無理に推測で回答させると、誤案内による二次クレームを招きます。「申し訳ございませんが、その質問にはお答えできません。オペレーターに繋ぎますか?」と潔く認める設計の方が、顧客の信頼を損ないません。

システム障害時のリスク管理

万が一、クラウドツールやネットワークがダウンした際のバックアッププランを用意しておきます。

  • フェイルオーバーの設計: 自動システムがダウンした際、自動的に従来のアナログな電話ラインへ切り替わるように設定しておく、あるいはWebサイト上に緊急告知を即座に表示できる体制を整えます。
  • マニュアルのオフライン化: システムが止まっても最低限の案内ができるよう、重要なFAQや対応フローはPDFや紙媒体でも保持しておく必要があります。

従業員教育と運用定着の工夫

自動化を「自分の仕事が奪われる脅威」と感じるスタッフもいます。

  • マインドセットの転換: 「自動化は、あなたたちを単純作業から解放し、プロフェッショナルな仕事に集中させるための武器である」というメッセージを経営層から発信します。
  • 現場を巻き込んだ改善: シナリオの修正やツールの選定に、現場のトップオペレーターを参加させます。現場の知恵が入ったツールこそが最も使いやすく、定着も早くなります。
  • デジタルスキルの習得支援: ツールを使いこなすためのトレーニングを実施し、スタッフの市場価値を高める機会として提供することで、前向きな協力体制を構築します。

9. 自動化成功事例と実践へのアドバイス

問い合わせ対応の自動化は、かつては大企業だけの特権でしたが、現在ではテクノロジーの民主化により、あらゆる規模の企業がその恩恵を享受できる時代になっています。ここでは、実際に成果を上げている企業の事例から学び、限られたリソースでいかに効果を最大化するかという実践的なアドバイスを展開します。

導入企業の実際の効果紹介

自動化を成功させた企業には共通のパターンがあります。それは「顧客の不便」と「現場の疲弊」が重なるポイントを的確に特定していることです。

  • 大手ECサイトの事例(チャネルシフトとボイスボット): この企業では、配送状況の確認や注文キャンセルの電話が全体の6割を占めていました。そこで、電話の一次受付をボイスボットに置き換え、同時に「詳細な状況はSMSで送るURLからWebで確認できる」という案内を徹底しました。結果として、入電数の40%をWebへ誘導し、残る電話対応もAIが自動完結させることで、コールセンターのコストを年間で数千万円単位で削減することに成功しました。
  • SaaSスタートアップの事例(FAQとチャットボットの連携): ユーザー数の急増に伴い、基本的な操作説明の問い合わせがパンク状態にありました。同社は、既存のヘルプセンターの記事をAIチャットボットに読み込ませる「RAG(検索拡張生成)」構成を導入。顧客が日常的な言葉で質問しても、正確なFAQ記事を引用して回答できる体制を整えました。これにより、有人対応が必要なチケット数が30%減少し、カスタマーサクセスチームは解約防止のための個別コンサルティングに時間を割けるようになりました。

中小企業での低コスト活用法

「高価なAIツールを導入する予算がない」という中小企業でも、工夫次第で自動化の恩恵は得られます。重要なのは「専用ツール」にこだわらず、既存のインフラを使い倒すことです。

  1. LINE公式アカウントの活用: 多くの日本人が利用するLINEは、標準機能や安価な拡張ツールで「自動応答メッセージ」や「リッチメニュー(ボタン形式の案内)」が作成できます。よくある質問をボタン化するだけで、電話やメールの件数を即座に減らすことが可能です。
  2. Google フォームと自動返信の組み合わせ: 問い合わせフォームをGoogle フォームで作成し、アドオンを活用して「よくある質問へのリンク」を含めた自動返信メールを送る。これだけでも、一次対応のスピード感は劇的に向上します。
  3. 既存ドキュメントの「公開」: 社内で使っているマニュアルを、Google サイトやNotionなどの無料・安価なツールで外部公開(FAQ化)するだけでも、顧客の自己解決を促す強力な武器になります。

ステップ別の導入計画例

いきなり「完全自動化」を目指すのは失敗の元です。以下の3ステップで、徐々に範囲を広げていくのが現実的です。

  • フェーズ1:可視化とFAQ整備(1〜2ヶ月): 現在の問い合わせをスプレッドシート等で分類し、ボリュームの多い項目からFAQ(よくある質問ページ)を作成・公開します。「まずはここを見てください」という動線を作るのが先決です。
  • フェーズ2:定型業務の自動応答導入(3〜6ヶ月): チャットボットやIVR(音声ガイダンス)を導入し、フェーズ1で作ったFAQへの誘導を自動化します。また、住所変更などの簡単な手続きのみを自動受付の対象にします。
  • フェーズ3:システム連携とAI高度化(6ヶ月以降): 自動応答ツールと自社の顧客データベース(CRM)を連携させ、「あなた専用の回答(購入履歴に基づく案内など)」ができるようにします。また、生成AIを活用して、より自然な対話を実現させます。

10. まとめ:問い合わせ対応自動化の手順と成功のポイントまとめ

本稿で解説してきた「問い合わせ対応自動化」の本質は、テクノロジーによって人間を疎外することではなく、人間が人間にしかできない付加価値の高い業務に回帰するための環境整備にあります。

成功のために押さえておくべき核心的なポイントを、手順に沿って再整理します。

ステップ1:現状分析と目標設定

「何のために自動化するか」を明確にします。コスト削減なのか、24時間対応による顧客満足度向上なのか、あるいは従業員の離職防止なのか。目的によって選ぶべきツールやKPIが変わります。パレートの法則に従い、まずは全体の2割の項目(=8割の入電数)をターゲットに据えることが鉄則です。

ステップ2:最適な「ハイブリッド体制」の設計

AIやロボットにすべてを任せるのではなく、人間とシステムの境界線をどこに引くかを設計します。

  • システム: 24時間365日の即時対応、定型データの照会、単純な事務手続き。
  • 人間: 感情のケア、複雑な事象の切り分け、最終的な意思決定、重要顧客への個別対応。 この切り分けが、顧客に「冷たい対応をされた」と感じさせないための防波堤となります。

ステップ3:スモールスタートと継続的改善

最初から完璧なシナリオは存在しません。まずは限定的な範囲で導入し、実際の顧客の反応(フィードバック)や、AIが正しく回答できなかったログを分析して、週単位でチューニングを繰り返します。自動化は「導入して完成」ではなく、「運用しながら育てる」ものであるというマインドセットが、組織全体に求められます。

ステップ4:バックエンドの連動(RPA・データ連携)

フロントエンドの自動応答だけでなく、その後のデータ入力や他部署連携をRPA等で自動化し、「一気通貫」のフローを構築します。これにより、現場のオペレーターは「事務作業」から解放され、よりクリエイティブな改善提案や顧客との深いコミュニケーションに注力できるようになります。

最後に:顧客体験(CX)を中心に据える

自動化の指標は、単なる「削減時間」や「コスト」だけではありません。最終的に顧客が「早く解決できて助かった」「自分のことを理解してくれている」と感じられるかどうかが、真の成功指標です。 テクノロジーを「壁」にするのではなく、顧客と企業をよりスムーズに繋ぐ「架け橋」として活用する。この視点を忘れずに推進することが、競争の激しい市場において顧客に選ばれ続けるための、唯一無二のカスタマーサポート戦略となります。

 

 

 

 

  • 株式会社エイ・エヌ・エス 取締役

    システムインテグレーション事業部 第2グループ長 プロジェクトマネージャー

    K.K

    1996年、株式会社エイ・エヌ・エスに入社。
    入社後、SEとしての技術力と営業力を磨き、多くのプロジェクトに参画。
    要件定義から設計・開発、運用まで、上流から下流工程を幅広く経験する。
    現在はプロジェクトマネージャーとして、大規模プロジェクトを数多く成功に導く。
    「システムの導入効果を最大限感じてもらうこと」をモットーに、
    顧客特性に応じた最適なシステム提案を心がけている。


 

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