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システム保守の重要性と保守引継ぎサービスの活用 ― 安定稼働を支える体制づくりとは

システム保守の重要性と保守引継ぎサービスの活用 ― 安定稼働を支える体制づくりとは

公開日:2020年8月13日 更新日:2026年7月27日

 

企業活動において、業務システムや基幹システムは、受発注、販売管理、在庫管理、顧客管理、会計、人事など、さまざまな業務を支えています。システムが問題なく稼働している間は、その存在を意識する機会が少ないかもしれません。しかし、障害や不具合が発生すると、業務が進められなくなったり、顧客への対応が遅れたりするなど、事業全体に影響が及ぶ可能性があります。

システムを長期的かつ安定的に利用するためには、導入後も継続して状態を確認し、不具合への対応や環境変化への適応、必要に応じた改善を行う「システム保守」が欠かせません。

 

一方で、保守を担当していた開発会社の方針変更や担当者の退職、社内IT人材の不足などによって、従来の保守体制を維持できなくなるケースもあります。特に、長期間利用しているシステムや、特定の担当者だけが仕様を把握しているシステムでは、保守の属人化やブラックボックス化が大きなリスクになります。

こうした状況に備える方法の一つが、別のシステム会社へ保守業務を移管する「保守引継ぎサービス」です。

本記事では、システム保守が必要な理由、システム運用との違い、保守に必要なスキルや体制、AI・自動化の活用方法、外部委託のメリットと注意点、保守会社の選び方、保守引継ぎを円滑に進めるための準備について解説します。

 

 

目次

1.システム保守はなぜ必要か

– 保守を行わない場合に生じるリスク

2.システム保守とシステム運用の違い

– システム運用とは

– システム保守とは

– 運用と保守の連携が重要

3.システム保守の役割と範囲

-障害対応・是正保守

– 予防保守

– 適応保守

– 改善保守

4.システム保守に必要なスキルと体制

-1.プログラミングスキル

-2.インフラ・ハードウェアの知識

-3.データ管理能力

-4.セキュリティ対応力

-5.コミュニケーション・調整力

5.システム保守の属人化リスク

– 担当者の退職・異動によるリスク

– ブラックボックス化したシステムの問題

– 属人化は社内担当者だけの問題ではない

6.システム保守の属人化を防止する方法

– ドキュメント化とナレッジ共有

– 標準化と手順化

– クロストレーニングとレビュー体制

– 外部の専門会社との役割分担

7.継ぎで得られる主なメリット

– AIによるログ分析と異常検知

– 定型作業の自動化

– セキュリティ監視へのAI活用

– AI活用時の注意点

8.システム保守を外部委託するメリット・デメリット

– 外部委託のメリット

– 外部委託のデメリット

9.システム保守を委託する際の契約上の注意点

– 保守対象と対応範囲

– 対応時間と連絡方法

– 障害の優先度と対応方針

– 料金体系の確認

– 準委任契約と請負契約

– 契約終了時の取り扱い

– 秘密保持とセキュリティ

10.システム保守会社の選び方

– 対応できる技術を確認する

– 他社開発システムの解析経験を確認する

– 担当体制と対応速度を確認する

– 報告・情報共有の方法を確認する

– 改修や再構築にも対応できるか

– 料金の安さだけで判断しない

11.保守引継ぎサービスが必要になるケース

– 開発会社から保守を打ち切られた

– 保守会社と連絡が取りにくい

– 社内のシステム担当者が退職・異動する

– 保守の対応速度や品質に不満がある

– 古いシステムに対応できる技術者がいない

– 保守費用が高額になっている

12.保守引継ぎを円滑に進めるための準備

– 契約書や関連資料を確認する

– ソースコードと設計書を整理する

– サーバーやデータベース情報を整理する

– アカウントと権限情報を整理する

– 障害履歴と改修履歴を確認する

– 運用ルールと業務フローを共有する

– 旧担当者・新担当者・利用部門が連携する

13.保守引継ぎサービスの流れ

– 現状のヒアリング

– 資料・システム環境の確認

– 現行システムの調査・解析

– 保守対象と対応範囲の整理

– 保守体制の構築

– 保守開始

– 継続的な改善・報告

– 将来的な改修・再構築の検討

14.保守引継ぎで得られるメリット

– 業務の安定化と生産性向上

– 障害発生時の迅速な対応

– 長期的な安定稼働

– 保守の属人化を軽減できる

– コストを最適化しやすい

– 将来的な拡張・再構築に備えられる

15.システム保守の導入・引継ぎはエイ・エヌ・エスへ

 

 

 

 

1.システム保守はなぜ必要か

現代の企業において、ITシステムは単なる業務支援ツールではなく、日々の事業活動を支える重要な基盤です。

販売管理システムが停止すれば受注や売上の確認ができなくなり、在庫管理システムに不具合が起これば、正確な在庫数を把握できなくなる可能性があります。顧客管理システムに障害が発生した場合には、問い合わせ対応や営業活動にも影響が及ぶでしょう。

このような事態を防ぎ、システムを安定して使い続けるために必要なのがシステム保守です。

システムが現在問題なく動いていても、将来も同じ状態が続くとは限りません。システムを取り巻く環境は常に変化しています。OSやブラウザの更新、サーバーやミドルウェアのバージョンアップ、利用端末の変更、法令や社内ルールの改定などにより、これまで正常に動いていた機能に問題が発生することがあります。

 

また、長期間運用しているシステムでは、データ量の増加によって処理速度が低下したり、古いプログラムや機器が原因で障害が起こりやすくなったりする場合もあります。

システム保守は、障害が発生したときに修理するだけの業務ではありません。定期的な点検、セキュリティ対応、データの保護、環境変化への対応、機能や操作性の改善などを通じて、問題が起こりにくい状態を維持することも重要な役割です。

 

保守を行わない場合に生じるリスク

適切な保守が行われていないシステムでは、次のような問題が発生する可能性があります。

 

・障害発生時に原因を特定できず、復旧までに時間がかかる
・業務停止によって売上機会を失う
・データが破損または消失する
・セキュリティ上の脆弱性が放置される
・法改正や業務変更に対応できない
・処理速度や操作性が低下する
・担当者の退職後にシステムの内容が分からなくなる
・改修や機能追加が難しくなる
・老朽化が進み、再構築時の負担が大きくなる

 

特に基幹システムは、複数の部門や業務と密接につながっています。一つの機能の停止が、受注、出荷、請求、入金確認といった一連の業務に影響することもあります。

システム保守は、こうした事業上のリスクを抑え、企業が本来の業務に集中できる環境を維持するための取り組みです。

 

 

 

 

2.システム保守とシステム運用の違い

「システム保守」と「システム運用」は、同じ意味で使われることもありますが、本来は役割が異なります。

両者の違いを理解することで、必要な業務を整理し、誰が何を担当するのかを明確にしやすくなります。

 

システム運用とは

システム運用とは、システムを日常的に稼働させるために行う継続的な業務です。

代表的な業務には、次のようなものがあります。

 

・システムの稼働状況の監視
・サーバーやネットワークの状態確認
・データのバックアップ
・アカウントやアクセス権限の管理
・定期処理やバッチ処理の実行確認
・ログの収集と確認
・問い合わせ対応
・定期的な報告書の作成
・システム利用者への操作支援

 

運用業務は、あらかじめ決められた手順に基づいて日常的に行われる作業が中心です。異常がないかを継続的に確認し、システムを安定した状態に保つことを目的としています。

 

システム保守とは

システム保守とは、不具合や障害への対応、プログラムの修正、環境変化への対応、機能改善などを行う業務です。

代表的な業務には、次のようなものがあります。

 

・システム障害の原因調査と復旧
・不具合やバグの修正
・OSやミドルウェアの更新に伴う対応
・セキュリティパッチの適用
・法改正や業務ルール変更への対応
・処理速度や操作性の改善
・既存機能の修正
・小規模な機能追加
・障害の再発防止策の検討

 

運用がシステムの日常的な稼働を支える業務であるのに対し、保守は問題の解決やシステムの変化に対応する業務と考えると分かりやすいでしょう。

ただし、実際の契約や体制では、運用と保守が明確に分かれていないケースもあります。「運用保守」という名称で、監視、問い合わせ対応、障害対応、修正作業などをまとめて提供している会社もあります。

 

運用と保守の連携が重要

システムを安定稼働させるには、運用と保守の連携が欠かせません。

運用担当者が日々の監視やログ確認によって異常を早期に発見し、その情報を保守担当者へ正確に共有できれば、問題の拡大を防ぎやすくなります。

 

一方で、保守担当者が障害の原因や対応結果を運用担当者へ共有することで、その後の監視項目や運用手順を改善できます。

運用と保守が別々に行われ、情報共有が不足していると、同じ障害が繰り返されたり、初動対応が遅れたりする可能性があります。担当範囲を分ける場合でも、連絡方法やエスカレーションの流れをあらかじめ整えておくことが重要です。

 

3.システム保守の役割と範囲

システム保守は、対応する目的に応じて、一般的に「是正保守」「予防保守」「適応保守」「改善保守」の4つに分けて考えることができます。

 

 

障害対応・是正保守

是正保守とは、システムに発生した不具合や障害を修正し、正常な状態へ戻すための対応です。

例えば、次のような状況が該当します。

 

・画面にエラーが表示される
・特定の条件でデータを登録できない
・帳票が正しく出力されない
・外部システムとの連携が停止した
・処理が途中で止まる
・計算結果が正しくない

 

是正保守では、まず利用者から状況を確認し、ログやデータ、プログラムを調査して原因を特定します。そのうえで、影響範囲を確認しながら修正、テスト、本番環境への反映を行います。

業務への影響が大きい場合は、恒久的な修正に先立って、一時的な回避策や暫定対応を行うこともあります。

 

予防保守

予防保守とは、障害が発生する前に問題の兆候を把握し、トラブルを未然に防ぐための活動です。

例えば、次のような対応があります。

 

・サーバー容量やメモリ使用量の確認
・ログに記録されたエラーの調査
・バックアップ結果の確認
・不要なデータやファイルの整理
・古くなった機器やソフトウェアの更新
・障害が起こりやすい処理の見直し
・復旧手順の確認や訓練

 

予防保守を行うことで、突然のシステム停止やデータ消失のリスクを減らせます。

システムが停止してから復旧するよりも、事前に問題を発見して対応する方が、業務への影響や対応コストを抑えやすくなります。

 

適応保守

適応保守とは、システムを取り巻く環境の変化に合わせて、必要な修正を行う保守です。

具体的には、次のようなものがあります。

 

・OSのバージョンアップへの対応
・ブラウザの仕様変更への対応
・データベースやミドルウェアの更新
・外部サービスの仕様変更への対応
・法改正や制度変更への対応
・社内ルールや業務フロー変更への対応
・利用端末やネットワーク環境の変更

 

システムそのものに不具合がなくても、周辺環境が変わることで正常に動作しなくなることがあります。

長期間利用するシステムでは、将来の環境変化を想定し、どのソフトウェアやサービスに依存しているかを把握しておくことが重要です。

 

改善保守

改善保守とは、システムの使いやすさ、性能、保守性などを高めるための活動です。

例えば、次のような対応が該当します。

 

・入力画面を使いやすくする
・検索や集計処理を高速化する
・手作業で行っている処理を自動化する
・よく使う機能への導線を改善する
・重複した処理を整理する
・プログラム構造を見直す
・問い合わせの多い機能を改善する

 

システムは導入時点で完成するものではありません。実際に利用する中で、新たな課題や改善点が見つかります。

利用者から寄せられた要望や運用データを基に改善を積み重ねることで、業務効率や生産性の向上につなげられます。

 

4.システム保守に必要なスキルと体制

システム保守を安定して行うためには、プログラムを修正できるだけでは十分ではありません。

システムの構成、データ、インフラ、セキュリティ、業務内容などを総合的に理解し、関係者と連携しながら対応する力が求められます。

 

1. プログラミングスキル

プログラミングスキルは、システム保守の基盤となる能力です。

障害が発生した際には、既存のソースコードを読み、どの処理で問題が発生しているのかを特定する必要があります。他社が開発したシステムや、長年改修が繰り返されてきたシステムでは、設計書と実際のプログラムが一致していないケースもあります。

そのため、単に新しいプログラムを作成する能力だけでなく、既存コードの構造や意図を読み解く力が重要です。

また、修正によって別の機能に影響が出ないように、影響範囲を確認し、適切なテストを行う力も求められます。

 

2. インフラ・ハードウェア知識

業務システムは、サーバー、ネットワーク、パソコン、クラウド環境など、さまざまな基盤の上で稼働しています。

システムに問題が発生した場合、原因がプログラムにあるとは限りません。サーバーの容量不足、ネットワーク障害、機器の故障、権限設定の誤りなどが原因となることもあります。

障害の原因を迅速に切り分けるためには、ソフトウェアだけでなく、インフラやハードウェアに関する知識が必要です。

ただし、一つの保守会社がすべての機器やネットワークを直接管理するとは限りません。インフラ事業者やクラウド事業者、社内の情報システム担当者など、関係者との連携体制を整えることも重要です。

 

3. データ管理能力

システムで扱うデータは、企業にとって重要な資産です。

顧客情報、販売履歴、在庫情報、契約情報などが失われると、事業継続に大きな影響を与える可能性があります。

そのため、システム保守では、次のようなデータ管理能力が求められます。

 

・データベース構造の理解
・バックアップ方法の把握
・バックアップ結果の確認
・データ復旧手順の整備
・データ移行時の検証
・誤登録や重複データへの対応
・アクセス権限の管理

 

バックアップを取得していても、実際に復元できなければ十分とはいえません。必要に応じて復旧手順を確認し、障害時に対応できる状態を整えておくことが大切です。

 

4. セキュリティ対応力

システム保守では、セキュリティに関する知識も必要です。

OSやソフトウェアの脆弱性が放置されていると、不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まります。また、退職者のアカウントが残っている、必要以上の権限が付与されているといった運用上の問題も、セキュリティ事故につながる可能性があります。

具体的には、次のような対応が求められます。

 

・セキュリティパッチの適用
・アクセス権限の確認
・不審なログや通信の確認
・不要なアカウントの削除
・パスワード管理方法の見直し
・脆弱性情報の収集
・インシデント発生時の初動対応

 

セキュリティ対策は一度行えば終わりではありません。新たな脅威や環境変化に合わせて、継続的に見直す必要があります。

 

5. コミュニケーション・調整力

システム保守では、技術力だけでなく、利用者や関係会社との調整力も重要です。

利用者から寄せられる問い合わせは、必ずしも技術的に整理された状態とは限りません。「昨日まで使えた機能が動かない」「処理が遅い気がする」といった情報から、発生条件や影響範囲を確認する必要があります。

また、システム変更を行う際には、利用部門、経営層、インフラ担当者、外部サービス事業者などとの調整が必要になることもあります。

専門用語だけで説明するのではなく、業務への影響や対応方針を分かりやすく伝えることが、円滑な保守につながります。

 

 

 

5.システム保守の属人化リスク

システム保守で起こりやすい問題の一つが属人化です。

属人化とは、特定の担当者しか業務内容や対応方法を把握しておらず、その担当者がいなければ業務を進められない状態を指します。

システム保守は専門性が高く、過去の経緯や例外的な処理を理解するまでに時間がかかります。そのため、長期間同じ担当者が対応していると、知識やノウハウがその人に集中しやすくなります。

 

担当者の退職・異動によるリスク

担当者が退職、休職、異動した際に十分な引継ぎが行われていないと、障害発生時の対応が難しくなります。

例えば、特定のエラーが発生した際の回避方法を担当者しか知らなかった場合、その人が不在になるだけで業務停止が長期化する可能性があります。

また、システムの設計意図や過去の改修理由が分からなければ、小さな修正であっても影響範囲を判断しにくくなります。

 

ブラックボックス化したシステムの問題

長期間使用しているシステムでは、改修が繰り返されるうちに、全体像を把握できる人がいなくなることがあります。

ドキュメントが更新されていなかったり、設計書と実際のシステムに差があったりすると、内部構造を確認するためにソースコードやデータベースを一から解析しなければなりません。

このようなブラックボックス化したシステムでは、次のような問題が起こりやすくなります。

 

・障害原因の特定に時間がかかる
・改修による影響範囲を判断できない
・機能追加の見積もりが難しい
・新しい担当者へ引き継げない
・セキュリティ上の問題を把握できない
・再構築時に現行仕様を整理できない

 

属人化は社内担当者だけの問題ではない

属人化は、社内の担当者だけでなく、保守を委託している会社側でも発生します。

委託先の特定のエンジニアしかシステムを理解していない場合、その担当者の退職や異動によって、対応品質が低下する可能性があります。

保守を外部委託する際には、個人ではなくチームとして情報が共有されているか、担当者が変更された場合の引継ぎ方法が決められているかを確認することが重要です。

 

6.システム保守の属人化を防止する方法

 

 

属人化を完全になくすことは簡単ではありませんが、情報を整理し、複数人が対応できる仕組みをつくることで、リスクを抑えることができます。

 

1. ドキュメント化とナレッジ共有

属人化防止の基本は、システムに関する情報を文書として残すことです。

整理しておきたい情報には、次のようなものがあります。

 

・システムの概要
・サーバーやネットワークの構成
・使用している言語やデータベース
・外部システムとの連携情報
・主要な業務フロー
・日常的な運用手順
・障害発生時の対応手順
・バックアップと復旧方法
・過去の障害履歴
・過去の改修履歴
・アカウントや権限の管理方法
・契約している外部サービス

 

ドキュメントは作成するだけでなく、システム変更に合わせて更新することが重要です。

すべての情報を最初から完璧にまとめようとすると作業負担が大きくなるため、障害対応や改修のたびに情報を追記する方法も有効です。

 

2. 標準化と手順化

同じ作業でも、担当者ごとに方法が異なると、ミスや対応品質のばらつきが発生しやすくなります。

バックアップ、アカウント登録、定期処理、障害時の連絡など、繰り返し行う作業は手順を標準化することが重要です。

手順書には操作方法だけでなく、次のような情報も記載すると活用しやすくなります。

 

・作業の目的
・実施するタイミング
・必要な権限
・作業前の確認事項
・異常が起きた場合の対応
・作業後に確認する項目
・関係者への報告方法

 

作業の標準化によって、担当者が変わっても一定の品質で対応しやすくなります。

 

3. クロストレーニングとレビュー体制

複数の担当者が同じシステムや業務を理解できるように、クロストレーニングを行うことも有効です。

一人が作業し、別の担当者が内容を確認するレビュー体制を設けることで、作業ミスの防止と知識共有を同時に進められます。

ただし、小規模な企業では、複数のIT担当者を配置することが難しい場合もあります。その場合は、社内担当者と外部の保守会社が情報を共有し、双方が一定の範囲を理解できる状態をつくる方法もあります。

 

4.外部の専門会社との役割分担

社内だけで保守体制を整えようとすると、採用、教育、人件費などの負担が大きくなることがあります。

特に、一つのシステムのためだけに、プログラム、インフラ、データベース、セキュリティの専門人材をすべて社内で確保することは容易ではありません。

外部の保守会社を活用し、社内では業務判断や利用者対応を担当し、技術的な調査や修正を外部へ委託するなど、役割を分けることも有効です。

重要なのは、すべてを外部へ任せて内容を把握しなくなることではありません。定期的な報告やドキュメント共有を通じて、社内にも必要な情報を残すことが求められます。

 

 

7.AI・自動化を活用したシステム保守

近年は、AIや自動化技術をシステムの運用・保守に活用する取り組みも進んでいます。

ただし、AIを導入すれば、すべての障害を自動的に予測・解決できるわけではありません。AIは、ログの分析や異常の発見、担当者の判断支援などに活用することで、保守業務の効率化に役立ちます。

 

AIによるログ分析と異常検知

システムやサーバーからは、稼働状況、エラー、アクセス履歴など、さまざまなログが出力されます。

ログの量が多い場合、人がすべてを確認することは困難です。AIや機械学習を活用することで、通常時とは異なるパターンや、障害につながる可能性がある変化を検知できる場合があります。

例えば、次のような変化の発見に活用できます。

 

・特定処理の応答時間が徐々に長くなっている
・通常よりもエラー発生回数が増えている
・サーバーの負荷が特定の時間帯に集中している
・通常とは異なるアクセスが発生している
・過去の障害発生前と似た兆候が現れている

 

異常の兆候を早期に把握できれば、システムが完全に停止する前に調査や対応を始められる可能性があります。

ただし、検知された異常が本当に問題なのか、どのような対応が必要なのかを判断するには、システムと業務を理解した担当者の確認が必要です。

 

定型作業の自動化

保守や運用では、決められた時間に繰り返し行う作業が多くあります。

例えば、次のような作業です。

 

・ログの収集
・バックアップの実行
・サーバー容量の確認
・定期処理の実行結果確認
・アカウント情報の更新
・報告資料の作成
・担当者への通知

 

これらの定型作業は、スクリプトやRPA、運用管理ツールなどを利用して自動化できる場合があります。

自動化によって作業時間を削減できるだけでなく、確認漏れや入力ミスなどの人的ミスを減らせる可能性があります。

一方で、自動化した処理が正常に動いているかを確認する仕組みも必要です。自動処理が停止していることに気付かず、バックアップが長期間取得されていなかったという事態は避けなければなりません。

 

セキュリティ監視へのAI活用

AIは、不正アクセスや通常とは異なる通信の検知など、セキュリティ監視にも活用されています。

過去のアクセス傾向や通常時の行動パターンと比較し、不審な動きを検知することで、従来のルールだけでは発見しにくい異常を把握できる場合があります。

また、脆弱性情報の整理や、対応優先度の判断を支援する用途も考えられます。

ただし、AIが出した結果をそのまま採用するのではなく、誤検知や見逃しの可能性を考慮し、人による確認と組み合わせることが重要です。

 

AI活用時の注意点

システム保守にAIを活用する際には、次の点を確認する必要があります。

 

・分析対象となるデータを十分に取得できるか
・機密情報や個人情報をどのように扱うか
・AIの判断根拠を確認できるか
・誤検知が発生した場合の確認方法
・異常検知後に誰が対応するか
・導入や運用にかかるコストが適切か
・既存システムと連携できるか

 

AIは保守担当者を完全に置き換えるものではなく、情報の整理や異常の早期発見を支援する手段として活用することが現実的です。

 

 

8.システム保守を外部委託するメリット・デメリット

社内で十分な保守体制を確保できない場合、システム保守を専門会社へ委託する方法があります。

外部委託には多くのメリットがありますが、すべての企業やシステムに同じ形が適しているとは限りません。自社の課題や必要な対応範囲を整理したうえで検討することが重要です。

 

外部委託のメリット

専門的な技術を活用できる

外部の保守会社には、プログラム、データベース、インフラなどの専門知識を持つ人材が在籍しています。

自社だけでは対応が難しい障害や、他社が開発したシステムの解析についても、経験や技術力のある会社であれば対応できる可能性があります。

社内担当者の負担を軽減できる

社内担当者が、通常業務と並行してシステム障害や問い合わせに対応している場合、大きな負担となります。

技術的な調査や修正、定期的なメンテナンスを外部へ委託することで、社内担当者は本来の業務や、業務改善の検討に集中しやすくなります。

保守体制を継続しやすい

一人の社内担当者だけに依存している場合、退職や異動によって保守体制が失われる可能性があります。

チームで対応する保守会社へ委託することで、個人に依存しない体制を構築しやすくなります。

必要な範囲に合わせて契約できる

保守会社によっては、月額契約、作業時間に応じた契約、個別見積もりなど、複数の契約方法があります。

自社で専任担当者を雇用する場合と比較して、必要な範囲に応じた体制を選択できる可能性があります。

 

外部委託のデメリット

社内にノウハウが蓄積されにくい

保守作業をすべて外部へ任せ、対応内容の共有を受けていない場合、社内に知識が残らない可能性があります。

障害内容、対応方法、改修履歴などを定期的に共有してもらい、必要な情報を自社でも保管することが重要です。

委託先への依存が生じる可能性がある

委託先しかシステムを理解していない状態になると、将来的に別の会社へ変更することが難しくなります。

契約終了時に、ドキュメント、ソースコード、作業履歴などを受け取れるようにしておく必要があります。

情報共有に時間がかかる場合がある

外部の保守会社は、社内の業務やシステムの利用状況を最初から理解しているわけではありません。

問い合わせ時に必要な情報が不足していると、状況確認に時間がかかります。社内の連絡窓口を決め、発生日時、操作内容、エラー画面などを整理して共有する仕組みが必要です。

契約内容によって費用が変わる

月額費用だけを見て契約した結果、必要な作業が保守範囲に含まれておらず、追加費用が発生することもあります。

料金だけではなく、どこまで対応してもらえるかを比較することが大切です。

 

 

9.システム保守を委託する際の契約上の注意点

システム保守の委託では、依頼する業務の範囲や対応条件を契約前に明確にすることが重要です。

「保守対応一式」のような曖昧な表現では、障害発生時に対応範囲をめぐって認識の違いが生じる可能性があります。

 

保守対象と対応範囲

まず、何を保守対象とするのかを確認します。

 

・業務アプリケーション
・Webシステム
・データベース
・サーバー
・ネットワーク
・パソコンや周辺機器
・外部サービスとの連携
・操作方法の問い合わせ
・データ修正
・小規模な機能改修

 

例えば、アプリケーションの保守契約に、サーバーやネットワークの障害対応が含まれていないこともあります。

保守会社が直接対応しない範囲についても、原因の切り分けや関係会社との連携をどこまで行ってもらえるか確認するとよいでしょう。

 

対応時間と連絡方法

障害や問い合わせの受付時間、連絡方法、対応開始までの目安も確認します。

 

・平日の営業時間内のみか
・夜間や休日の対応が必要か
・電話、メール、専用フォームのどれを使用するか
・緊急時の連絡先はあるか
・受付後の初動時間はどの程度か
・対応状況をどのように共有するか

 

すべての企業に24時間365日の対応が必要なわけではありません。自社のシステム利用時間や、停止した場合の影響を基に、必要なサポート時間を検討します。

 

障害の優先度と対応方針

障害の内容によって、緊急度は異なります。

システム全体が停止している場合と、一部の画面で軽微な表示崩れが発生している場合では、対応の優先度が違います。

契約時に障害レベルの考え方を定めておくと、緊急時に対応を依頼しやすくなります。

例えば、次のように分類します。

 

・最優先:業務全体が停止している
・高:主要な業務機能が利用できない
・中:一部の利用者や機能に影響がある
・低:業務継続は可能だが改善が必要

 

料金体系の確認

保守契約には、主に次のような料金体系があります。

 

・毎月一定額を支払う月額契約
・作業時間に応じて費用が決まる時間単価契約
・作業ごとに見積もる個別契約
・月額契約と個別見積もりを組み合わせる方法

 

月額契約であっても、機能追加や大規模改修は別料金となる場合があります。

月額費用に含まれる作業時間、未使用時間の扱い、超過時の単価、見積もりが必要な作業などを確認しておきましょう。

 

準委任契約と請負契約

システム保守では、準委任契約や請負契約が用いられることがあります。

一般的に、準委任契約は、一定の業務を適切に遂行することを目的とする契約です。一方、請負契約は、合意した成果物を完成させることを目的とします。

日常的な問い合わせ対応や調査業務は準委任契約、明確な仕様に基づく機能改修は請負契約とするなど、作業内容によって契約形態が分かれることもあります。

実際の契約条件や法的な判断は個別に異なるため、不明点がある場合は、契約担当者や専門家への確認が必要です。

 

契約終了時の取り扱い

保守会社を変更する可能性も考え、契約終了時の対応を確認しておくことが大切です。

 

・ソースコードを受け取れるか
・設計書や手順書を受け取れるか
・障害対応履歴や改修履歴を提供してもらえるか
・アカウントや権限情報を引き渡してもらえるか
・次の保守会社への引継ぎに協力してもらえるか
・データをどのように返却または削除するか

 

契約終了時の条件が不明確だと、次の会社への移管が難しくなる可能性があります。

 

秘密保持とセキュリティ

保守会社は、システム内部の情報や業務データへアクセスする場合があります。

そのため、秘密保持契約、アクセス権限の管理、データの取り扱い、作業端末のセキュリティなどについて確認する必要があります。

必要以上の権限を付与せず、作業内容に応じてアクセス範囲を制限することも重要です。

 

 

10.システム保守会社の選び方

システム保守会社を選ぶ際には、価格だけでなく、自社のシステムを継続的に任せられるかという視点が必要です。

 

対応できる技術を確認する

まず、現在のシステムで使用しているプログラミング言語、フレームワーク、データベース、サーバー環境などに対応できるか確認します。

古い言語や独自の構成を使用している場合、対応できる会社が限られることがあります。

完全に同じ環境での実績がなくても、類似技術の経験や、既存システムを解析する能力があるかを確認するとよいでしょう。

 

他社開発システムの解析経験を確認する

保守引継ぎでは、元の開発会社とは異なる会社がシステムを理解しなければなりません。

そのため、新規開発の実績だけでなく、他社が開発したシステムの解析や保守を引き継いだ経験が重要です。

ドキュメントが不足している場合に、どのような方法で調査するのか、保守開始までにどの程度の期間が必要かを確認しましょう。

 

担当体制と対応速度を確認する

一人のエンジニアだけが担当するのか、複数人のチームで情報を共有するのかによって、継続性が異なります。

担当者が不在の場合の代替体制や、緊急時の連絡方法も確認しておきます。

また、「迅速に対応します」という表現だけではなく、問い合わせ受付後の流れや、障害の優先度ごとの対応方針を確認することが重要です。

 

報告・情報共有の方法を確認する

保守作業を任せた後も、どのような問題が起き、どのように対応したのかを把握できることが大切です。

次のような情報を共有してもらえるか確認します。

 

・問い合わせ内容
・調査結果
・障害の原因
・実施した対応
・再発防止策
・改修内容
・今後の課題
・保守作業時間

 

定期的な報告や打ち合わせがあれば、システムの状態や将来の課題を把握しやすくなります。

 

改修や再構築にも対応できるか

システムを長く利用していると、保守だけでは解決できない問題が出てくることがあります。

例えば、老朽化による処理速度の低下、技術者不足、サーバー更新の困難、業務との不一致などです。

保守だけでなく、機能改修やシステム再構築にも対応できる会社であれば、現在のシステムを理解したうえで、将来の改善方法を検討できます。

 

料金の安さだけで判断しない

保守費用は重要な比較項目ですが、安さだけで判断すると、必要な対応が含まれていない可能性があります。

比較する際には、次の点を含めて総合的に判断します。

 

・対応範囲
・対応時間
・技術力
・担当体制
・報告内容
・追加費用の条件
・改修や再構築への対応
・契約終了時の引継ぎ条件

 

システム停止による損失や、社内担当者の負担も含めて費用対効果を検討することが重要です。

 

ANSでは保守開始後の改修・再構築まで見据えて確認

エイ・エヌ・エスでは、現在発生している障害に対応できるかだけでなく、今後もそのシステムを安全に使い続けられるかという視点で現状を確認します。

システムの状態によっては、現在の環境を維持しながら保守を継続できる場合もあれば、使用している技術やサーバー環境の老朽化により、将来的な再構築を検討した方がよい場合もあります。

ただし、古いシステムだからという理由だけで、すぐに再構築を提案するわけではありません。業務への影響、緊急性、予算、現在のシステムを利用できる期間などを整理し、まずは保守体制を確保したうえで、必要に応じて改修や再構築を段階的に検討します。

 

 

11.保守引継ぎサービスが必要になるケース

保守引継ぎサービスは、現在の保守体制を維持できない企業や、保守品質に課題を感じている企業に適しています。

 

開発会社から保守を打ち切られた

開発会社の事業方針変更、人員不足、サービス終了などによって、保守契約を継続できなくなることがあります。

すぐにシステムが使えなくなるとは限りませんが、障害や環境変化が起きた際に対応できる会社がいない状態は大きなリスクです。

保守終了の連絡を受けた場合は、契約終了までに、ソースコード、設計書、アカウント情報、改修履歴などを確認することが重要です。

 

保守会社と連絡が取りにくい

問い合わせへの返信が遅い、障害時に連絡が取れない、対応状況が分からないといった問題が続く場合、現在の保守体制を見直す必要があります。

対応速度だけでなく、障害原因や対応内容の説明が十分か、改善提案が行われているかも確認します。

 

社内のシステム担当者が退職・異動する

社内担当者がシステムの運用や保守を一人で担当している場合、その担当者の退職や異動が大きなリスクになります。

退職直前になってから引継ぎ先を探すと、十分な情報整理ができない可能性があります。異動や退職が決まった段階で、資料の整理と外部委託の検討を始めることが望ましいでしょう。

 

保守の対応速度や品質に不満がある

現在の保守会社が、障害対応だけを行い、再発防止や改善提案を行っていない場合、同じ問題が繰り返されることがあります。

システムの重要度や自社が求めるサポート水準に対して、現在の契約内容が適しているか見直す必要があります。

 

古いシステムに対応できる技術者がいない

古いプログラミング言語やデータベースを使用しているシステムでは、対応できる技術者が減少している場合があります。

元の開発会社で対応できなくなったとしても、既存システムの解析経験を持つ会社であれば、保守を引き継げる可能性があります。

ただし、システムの状態によっては、保守を継続するよりも、段階的な再構築を検討した方がよい場合もあります。

 

保守費用が高額になっている

システムの内容や作業量に対して、保守費用が高いと感じている場合も、委託先を見直すきっかけになります。

ただし、単純に安い会社へ変更すると、対応範囲や品質が下がる可能性があります。現在の契約に含まれている業務を整理し、同じ条件で比較することが重要です。

 

 

12.保守引継ぎを円滑に進めるための準備

システム保守の引継ぎでは、新しい保守会社が現行システムの構造と運用方法を理解する必要があります。

事前に情報を整理しておくことで、調査期間を短縮し、引継ぎ後のトラブルを減らしやすくなります。

 

契約書や関連資料を確認する

まず、現在の開発会社や保守会社との契約内容を確認します。

 

・ソースコードの所有権
・設計書やマニュアルの取り扱い
・契約終了時の引継ぎ条件
・データの返却方法
・アカウント情報の管理者
・外部サービスの契約名義

 

ソースコードや設計書が自社へ提供されていない場合は、契約終了前に受け取れるか確認します。

 

ソースコードと設計書を整理する

可能であれば、次の資料を用意します。

 

・ソースコード
・画面一覧
・機能一覧
・データベース設計書
・テーブル定義書
・サーバー構成図
・ネットワーク構成図
・外部連携仕様書
・操作マニュアル
・運用手順書
・テスト仕様書

 

すべての資料がそろっていなくても、引継ぎを諦める必要はありません。資料がない場合は、実際のシステム、ソースコード、データベース、ログなどを基に調査できる場合があります。

ただし、資料が少ないほど、調査に時間や費用がかかる可能性があります。

 

サーバーやデータベース情報を整理する

システムがどこで稼働しているか、誰が管理しているかを確認します。

 

・サーバーの設置場所またはクラウドサービス
・OSやミドルウェアの種類
・データベースの種類とバージョン
・ドメインやSSL証明書の管理先
・バックアップの保存先
・ネットワークやVPNの設定
・監視サービスの利用状況

 

契約名義が元の開発会社になっている場合は、自社名義への変更が必要になることもあります。

 

アカウントと権限情報を整理する

引継ぎには、システムやサーバーへアクセスするための権限が必要です。

 

・システム管理者アカウント
・サーバー接続アカウント
・データベース接続情報
・クラウドサービスの管理アカウント
・ソースコード管理ツール
・ドメイン管理サービス
・外部連携サービス

 

パスワードを一覧表へ直接記載するのではなく、適切な方法で安全に共有する必要があります。

また、退職者や旧委託先の不要なアカウントが残っていないかも確認します。

 

障害履歴と改修履歴を確認する

過去にどのような障害が発生し、どのような対応を行ったかは、新しい保守会社にとって重要な情報です。

同様に、過去の機能追加や修正内容が分かれば、現在のシステム構造を理解しやすくなります。

資料がない場合でも、メール、問い合わせ記録、見積書、請求書などから、過去の対応内容を整理できることがあります。

 

運用ルールと業務フローを共有する

システムの技術的な仕組みだけでなく、実際の業務でどのように使われているかを共有することも重要です。

 

・どの部門が利用しているか
・どの時間帯に利用しているか
・月末や繁忙期に特別な処理があるか
・停止できない時間帯はいつか
・障害時に優先すべき業務は何か
・問い合わせ窓口は誰か
・承認が必要な変更は何か

 

業務上の重要度を理解していなければ、技術的には正しい対応でも、実際の運用に合わない可能性があります。

 

旧担当者・新担当者・利用部門が連携する

可能であれば、現在の担当者、引継ぎ先の保守会社、社内の利用部門が参加する打ち合わせを行います。

資料だけでは伝わりにくい注意点や、過去の経緯、例外的な運用などを共有できるためです。

保守終了日まで余裕がある場合は、一定期間、旧担当者と新担当者が並行して対応する期間を設ける方法もあります。

 

 

13.保守引継ぎサービスの流れ

保守引継ぎの進め方は、システムの規模や資料の有無、現在の保守状況によって異なります。一般的には、次のような流れで進めます。

 

1.現状のヒアリング

まず、システムの概要や、現在抱えている課題を確認します。

 

・どのような業務で使用しているか
・なぜ保守会社の変更を検討しているか
・現在発生している問題はあるか
・どの範囲の保守を希望しているか
・いつまでに引継ぎたいか
・利用者数や利用時間
・将来的な改修予定

 

この段階で、対応可能性や調査の進め方を検討します。

 

2.資料・システム環境の確認

ソースコード、設計書、データベース、サーバー情報、運用手順などを確認します。

資料が不足している場合は、何を追加で調査する必要があるかを整理します。

セキュリティの観点から、必要に応じて秘密保持契約を締結したうえで資料を共有します。

 

3.現行システムの調査・解析

提供された資料と実際のシステムを基に、構造や処理内容を調査します。

 

・プログラムの構成
・主要な機能
・データベース構造
・外部システムとの連携
・サーバーやネットワーク環境
・バックアップ方法
・障害が起こりやすい箇所
・セキュリティ上の課題
・今後の保守に必要な情報

 

ドキュメントが不足している場合は、ソースコードや実際の動作、ログなどから可能な範囲で全体像を把握します。

 

4.保守対象と対応範囲の整理

調査結果を基に、どこまでを保守対象とするかを決めます。

例えば、アプリケーションの障害対応だけでなく、問い合わせ対応、データ修正、サーバー確認、軽微な改修などを含めるかを整理します。

保守会社だけでは対応できない範囲がある場合は、インフラ会社や外部サービス事業者との役割分担も確認します。

 

5.保守体制の構築

問い合わせ窓口、担当者、連絡方法、対応時間、障害の優先度、報告方法などを決めます。

属人化を防ぐために、調査で得た情報をチーム内で共有し、必要な手順書や管理資料を整備します。

 

6.保守開始

体制が整ったら、日常的な問い合わせ対応や障害対応を開始します。

保守開始直後は、想定していなかった運用や例外処理が見つかることもあります。そのため、実際の対応を通じて情報を追加し、保守体制を改善していきます。

 

7.継続的な改善・報告

保守開始後は、障害対応だけでなく、発生した問題の傾向や、将来的なリスクを整理します。

必要に応じて、処理速度の改善、業務の自動化、セキュリティ対策、サーバー更新などを検討します。

定期的な報告を通じて、システムの状態と今後の課題を共有することが重要です。

 

8.将来的な改修・再構築の検討

調査や保守を続ける中で、現在のシステムを維持するよりも、再構築した方がよいと判断される場合があります。

例えば、次のような状況です。

 

・使用技術が古く、対応できる技術者が少ない
・OSやデータベースの更新が難しい
・改修による影響範囲が大きい
・処理速度や操作性に大きな問題がある
・現在の業務とシステムが合っていない
・保守費用が増加している

 

保守によって時間を確保しながら、段階的に再構築を進めることも選択肢の一つです。

 

 

 

14.保守引継ぎで得られるメリット

保守引継ぎサービスを活用することで、単に障害対応を任せられるだけでなく、システム運用全体の安定化につながります。

 

業務の安定化と生産性向上

社内担当者が障害対応や技術的な問い合わせに追われていると、本来の業務へ集中できません。

専門会社へ保守を引き継ぐことで、技術的な調査や修正を任せられるため、社内担当者の負担軽減につながります。

また、定期的な点検や改善によってトラブルが減れば、利用者がシステムを安定して使えるようになり、業務全体の生産性向上も期待できます。

 

障害発生時の迅速な対応

引継ぎ時にシステムの構造や運用ルールを調査しておけば、障害発生後に一から確認する必要がありません。

保守対象や連絡方法が決まっていることで、問題発生時にすぐ調査を始めやすくなります。

ただし、障害の内容やシステムの状態によっては、原因特定や復旧に時間がかかる場合もあります。保守開始前にすべての問題を把握できるわけではないため、継続的に情報を蓄積することが重要です。

 

長期的な安定稼働

保守引継ぎサービスでは、障害対応だけでなく、システムの状態確認や予防的な対応を行える場合があります。

老朽化した機器やソフトウェア、容量不足、セキュリティ上の課題などを早期に把握できれば、計画的な対応が可能になります。

突然の障害によって急いで対応するのではなく、優先順位を付けて段階的に改善できる点は大きなメリットです。

 

保守の属人化を軽減できる

社内担当者や以前の開発会社の特定担当者だけに依存していた知識を、資料や手順として整理することで、属人化の軽減につながります。

チームとして情報を共有する保守会社であれば、担当者が不在の場合にも、別のメンバーが対応しやすくなります。

 

コストを最適化しやすい

社内で専任の保守担当者を複数配置するには、採用費、人件費、教育費などが必要です。

外部委託では、必要な対応範囲や作業量に合わせて契約を設計できるため、自社で専任体制を構築する場合よりも費用を抑えられる可能性があります。

また、障害による業務停止や、社内担当者が対応に費やす時間もコストとして考える必要があります。

 

将来的な拡張・再構築に備えられる

保守を行う過程で、処理フロー、データ構造、障害履歴、改修履歴などの情報が蓄積されます。

これらの情報は、将来の機能追加やシステム再構築を検討する際に役立ちます。

現行システムの仕様を把握できていない状態で再構築を始めると、必要な機能の漏れや、移行後の業務トラブルが発生しやすくなります。

保守を通じて現行システムを理解しておくことで、何を残し、何を改善し、何を廃止するのかを判断しやすくなります。

 

 

15.システム保守の導入・引継ぎはエイ・エヌ・エスへ

システムは、導入して終わりではありません。

業務内容や利用環境は変化し、システムにも継続的な修正や改善が必要になります。安定した保守体制を構築することは、障害を防ぐだけでなく、業務の継続性を確保し、将来の事業成長に備えることにもつながります。

しかし、社内だけで必要な技術者を確保し、複数人による保守体制を整えることは容易ではありません。また、開発会社の保守終了、担当者の退職、システムの老朽化などによって、突然保守を依頼できる相手がいなくなることもあります。

そのような場合には、現在のシステムに関する情報を可能な範囲で整理し、早めに新しい保守会社への引継ぎを検討することが重要です。

 

エイ・エヌ・エスでは、創業35年以上にわたり、企業ごとの業務に合わせたオーダーメイドシステムの開発、保守、再構築を支援しています。

他社が開発したシステムについても、ソースコードやデータベース、運用状況などを調査・解析し、保守を引き継げるか確認します。設計書や運用資料が十分に残っていない場合も、現状を確認したうえで、対応方法をご提案します。

保守開始後は、障害や不具合への対応だけでなく、システムの状態や将来的な課題を整理し、必要に応じて機能改修や再構築まで一貫して支援します。

「現在の保守会社から契約終了の連絡を受けた」「社内のシステム担当者が退職する」「他社が開発したシステムを引き継いでほしい」「保守対応が遅く、業務に支障が出ている」といったお悩みがある場合は、早めにご相談ください。

 

 

提供サービス

・IT-Trust (オーダーメイドのシステム導入で企業のDX推進を支援)
https://www.ans-net.co.jp/

・システム再構築(業務時間を削減し、生産性向上を支援するシステム再提案が可能)
https://www.ans-net.co.jp/lp/rebuilding/

・保守引継ぎサービス(最短1ヶ月でシステム保守の引継ぎが可能)
https://www.ans-net.co.jp/lp/maintenance/

・IT相談サービス(企業様が抱えるITに関するお悩み・ご相談を無料で受付)
https://www.ans-net.co.jp/it-advice/

・内製化支援サービス(システム開発の内製」を支援し、DX(デジタル変革)推進)
https://www.ans-net.co.jp/lp/insourcing/

 

 

 

 

  • 株式会社エイ・エヌ・エス 取締役

    システムインテグレーション事業部 第2グループ長 プロジェクトマネージャー

    K.K

    1996年、株式会社エイ・エヌ・エスに入社。
    入社後、SEとしての技術力と営業力を磨き、多くのプロジェクトに参画。
    要件定義から設計・開発、運用まで、上流から下流工程を幅広く経験する。
    現在はプロジェクトマネージャーとして、大規模プロジェクトを数多く成功に導く。
    「システムの導入効果を最大限感じてもらうこと」をモットーに、
    顧客特性に応じた最適なシステム提案を心がけている。













 

 

 

 

 

 

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