Column お悩み解決コラム

サービスに関するご相談は
こちらのフォームより受け付けております。

システム開発におけるウォーターフォールを解説:工程ごとの特徴と他手法との比較も

システム開発におけるウォーターフォールを解説:工程ごとの特徴と他手法との比較も

公開日:2025年12月23日 更新日:2026年7月29日

 

システム開発を成功させるためには、開発手法の選定が重要なポイントとなります。数ある開発手法の中でも、長年にわたり多くの企業で採用されている代表的な手法が「ウォーターフォール開発」です。要件定義から設計、開発、テスト、リリースまでを順番に進めるこの手法は、品質管理や進捗管理がしやすく、基幹システムや業務システムなど高い信頼性が求められるシステム開発で現在も広く活用されています。

 

一方で、近年では市場環境やユーザーニーズの変化が早くなったことから、開発途中でも仕様変更に柔軟に対応できる「アジャイル開発」を採用する企業も増えています。そのため、「ウォーターフォール開発とアジャイル開発は何が違うのか」「自社にはどちらの開発手法が適しているのか」と疑問を持つ担当者の方も少なくありません。

 

しかし、ウォーターフォール開発とアジャイル開発は優劣を比較するものではなく、それぞれ得意とするプロジェクトや目的が異なります。例えば、業務フローや要件が明確な基幹システムではウォーターフォール開発が適しているケースが多く、新規サービスやWebアプリケーションなど、市場やユーザーの反応を見ながら改善を重ねるシステムではアジャイル開発が効果を発揮します。

さらに近年では、それぞれの長所を活かした「ハイブリッド型」の開発手法を採用する企業も増えており、プロジェクトの特性に応じて複数の開発手法を組み合わせることも一般的になりつつあります。

 

本記事では、ウォーターフォール開発の特徴や各工程、メリット・デメリットをはじめ、アジャイル開発との違いや他の開発手法との比較、さらにウォーターフォール開発を成功させるためのポイントまで詳しく解説します。これからシステム開発を検討している企業担当者や、開発会社選びで失敗したくない方は、ぜひ参考にしてください。

 

目次

1.ウォーターフォール開発とは

-ウォーターフォール開発とは

-ウォーターフォール開発が採用される理由

-ウォーターフォール開発が向いているプロジェクト

2.ウォーターフォール開発の工程

-要件定義

-基本設計・詳細設計

-開発(実装)

-テスト

-リリース・運用保守

3.アジャイル開発とは

-アジャイル開発とは

-アジャイル開発の基本的な流れ

-ウォーターフォール開発との違い

-アジャイル開発が向いているプロジェクト

4.アジャイル開発のメリット・デメリット

-アジャイル開発のメリット

-アジャイル開発のデメリット

-デメリットを軽減する方法

5.ウォーターフォール開発のメリット・デメリット

-ウォーターフォール開発のメリット

-ウォーターフォール開発のデメリット

-ウォーターフォール開発が向いているケース・向いていないケース

6.ウォーターフォール開発を成功させるためのポイント

-要件定義を丁寧に行う

-モックアップを活用して認識を合わせる

-レビュー体制を構築する

-ドキュメントを整備する

-リスク管理を徹底する

7.ウォーターフォールと他の開発手法との比較

-プロトタイプ開発

-スパイラル開発

-DevOps

-ハイブリッド開発

8.よくある質問(FAQ)

-ウォーターフォール開発は古い開発手法ですか?

-アジャイル開発の方が優れていますか?

-基幹システムにはどちらが向いていますか?

-開発途中で仕様変更はできますか?

-開発会社はどのように選べばよいですか?

9.お客様の業務に合わせた最適なシステム開発

 

 

 

 

1.ウォーターフォール開発とは

ウォーターフォール開発とは

 

ウォーターフォール開発とは、システム開発を「要件定義」「設計」「開発」「テスト」「リリース」といった工程に分け、それぞれを順番に進めていく開発手法です。「Waterfall(滝)」という名前のとおり、水が上から下へ流れるように、一つの工程が完了してから次の工程へ進むことが基本となります。各工程で成果物を作成・承認しながら開発を進めるため、途中で前の工程へ戻ることは原則として想定されていません。

ウォーターフォール開発は1970年代から現在まで世界中で採用されており、日本でも金融機関や製造業、医療機関、自治体など、高い品質や信頼性が求められるシステム開発で広く利用されています。

 

近年ではアジャイル開発が注目されるようになりましたが、企業の基幹システムや業務システムでは、現在でもウォーターフォール開発が主流となるケースが少なくありません。その理由は、業務への影響が大きいシステムほど、品質を重視し、計画的に開発を進めることが求められるためです。

また、ウォーターフォール開発では、各工程ごとに成果物やドキュメントを作成するため、プロジェクト全体の進捗や品質を管理しやすいという特徴があります。開発途中で担当者が変更になった場合でも、設計書や仕様書を引き継ぐことで、スムーズにプロジェクトを継続しやすい点も大きなメリットです。

ウォーターフォール開発が採用される理由

ウォーターフォール開発が現在でも多くの企業で採用される理由は、大きく「品質」「管理」「保守性」の3つにあります。

 

品質を確保しやすい

ウォーターフォール開発では、各工程が完了するたびにレビューや承認を実施します。そのため、要件の漏れや設計ミスを早い段階で発見しやすく、品質を維持したまま次の工程へ進めます。

また、テスト工程では設計書や仕様書を基準として検証を行うため、「想定どおりに動作するか」を客観的に確認できます。

 

プロジェクト管理がしやすい

工程ごとに区切りが明確なため、進捗管理やスケジュール管理がしやすいことも特徴です。

現在どの工程まで進んでいるのか、予定どおり進行しているのかを把握しやすく、開発会社だけでなく、お客様側もプロジェクトの状況を理解しやすくなります。

また、見積もりや予算管理もしやすく、大規模プロジェクトでは特に大きなメリットとなります。

 

保守・運用にも役立つ

ウォーターフォール開発では、多くの設計書や仕様書が作成されます。

これらのドキュメントは開発中だけでなく、システム稼働後の保守や改修にも活用されます。

システムは導入して終わりではなく、法改正への対応や機能追加、サーバー更新など、長期間にわたって運用されます。

そのため、「どのような設計思想で開発されたのか」が分かる資料が残っていることは、保守性の向上にもつながります。

 

ウォーターフォール開発が向いているプロジェクト

ウォーターフォール開発は、あらゆるシステムに適しているわけではありません。特に次のようなプロジェクトでは、その特徴を最大限に活かすことができます。

 

基幹システム

販売管理システム、生産管理システム、在庫管理システム、会計システムなど、企業活動の中核となるシステムです。業務フローが比較的明確であり、安定稼働が最優先されるため、品質管理を重視するウォーターフォール開発と相性が良いとされています。

 

業務システム

社内で利用する業務システムも、業務手順がある程度決まっているケースが多く、ウォーターフォール開発が採用されることが一般的です。仕様を事前に整理し、計画的に開発を進めることで、完成後の手戻りを減らすことができます。

 

官公庁・自治体

行政システムでは、高い信頼性やセキュリティが求められます。また、契約上も仕様を事前に確定させることが多いため、ウォーターフォール開発が採用されるケースが多くあります。

 

医療・製造業

医療システムや製造業向けシステムでは、不具合が業務へ与える影響が大きくなります。そのため、十分な設計とテストを実施できるウォーターフォール開発が適しています。

一方で、ユーザーの反応を見ながら頻繁に機能追加を行うWebサービスやスマートフォンアプリなどでは、アジャイル開発の方が適している場合もあります。重要なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「システムの目的や運用方法に合った開発手法を選ぶこと」です。

 

 

2.ウォーターフォール開発の工程

ウォーターフォール開発では、一つひとつの工程を順番に進めながらシステムを完成させます。各工程にはそれぞれ重要な役割があり、前工程の成果物を基に次の工程へ進むため、一つの工程の品質がプロジェクト全体の品質にも大きく影響します。ここでは、ウォーターフォール開発の代表的な工程について詳しく解説します。

 

要件定義

要件定義は、ウォーターフォール開発の中でも最も重要な工程です。ここでは、お客様が抱えている課題や業務内容を整理し、「どのようなシステムを作るのか」「どのような機能が必要なのか」を明確にします。

具体的には、次のような内容を検討します。

  • 現状業務の整理
  • システム化する範囲
  • 必要な機能
  • 利用者・利用部門
  • セキュリティ要件
  • 他システムとの連携
  • 運用方法

 

要件定義が曖昧なまま開発を進めると、完成後に「想定していた機能と違う」「必要な画面が足りない」といった問題が発生し、大きな手戻りにつながる可能性があります。そのため、利用部門へのヒアリングや業務分析を十分に行い、認識を合わせることが重要です。

 

基本設計・詳細設計

要件定義をもとに、システムの設計を行います。基本設計では、利用者が実際に操作する画面や帳票、業務フロー、データの流れなどを設計します。一方、詳細設計では、プログラム内部の処理やデータベース構造、API連携など、開発者向けの設計を作成します。設計書は、開発だけでなく保守・改修時にも活用される重要なドキュメントです。そのため、第三者が見ても理解できるよう、わかりやすく整理することが求められます。

 

開発(実装)

設計書をもとにプログラムを作成する工程です。開発では、設計内容を正確に実装することはもちろん、コーディングルールの統一やソースコードレビューを実施し、品質を維持しながら開発を進めます。近年ではAIによるコーディング支援ツールも普及していますが、業務要件への適合性や品質についてはエンジニアによる確認が不可欠です。

 

テスト

システムが設計どおりに動作するかを確認する工程です。一般的には、

  • 単体テスト
  • 結合テスト
  • 総合テスト
  • 受入テスト

という流れで段階的に品質を確認します。テストでは機能だけでなく、性能やセキュリティ、異常時の動作なども確認し、本番環境でも安心して利用できる状態を目指します。

リリース・運用保守

テストを終えたシステムは、本番環境へリリースされます。しかし、システム開発はリリースして終わりではありません。運用開始後も、法改正への対応や業務変更、セキュリティ対策、機能改善など、継続的な保守・運用が必要になります。また、障害発生時の対応や問い合わせ対応も重要な業務です。システムを長く安定して利用するためには、開発だけでなく、その後の保守・運用まで見据えた体制づくりが欠かせません。そのため、開発会社を選ぶ際は「開発力」だけではなく、「長期的な保守・運用まで任せられるか」という視点も重要なポイントとなります。

 

3.アジャイル開発とは

アジャイル開発とは

アジャイル(Agile)とは、「俊敏な」「素早い」といった意味を持つ言葉です。システム開発においては、変化する要件や市場環境に柔軟に対応しながら、短期間で機能を開発・改善していく開発手法を指します。ウォーターフォール開発では、要件定義から設計、開発、テスト、リリースまでを順番に進めます。一方、アジャイル開発では、要件定義・設計・実装・テスト・レビューを短い期間で繰り返しながらシステムを段階的に完成させていきます。

 

この短い開発サイクルは「スプリント」と呼ばれ、一般的には1~4週間程度で設定されます。スプリントごとに完成した機能を確認し、ユーザーやお客様からのフィードバックを反映しながら次の開発へ進むため、市場や利用者のニーズに合わせて継続的に改善できる点が大きな特徴です。そのため、近年ではWebサービスやスマートフォンアプリ、SaaSなど、継続的なアップデートが前提となるシステムで多く採用されています。

 

アジャイル開発の基本的な流れ

アジャイル開発では、ウォーターフォール開発のように各工程を一度だけ実施するのではなく、小さな単位で繰り返し開発を進めます。

一般的な流れは次のとおりです。

 

① 要件定義

まずはシステム全体ではなく、最初に必要となる最低限の機能(MVP:Minimum Viable Product)を決定します。初期段階ですべての仕様を決めるのではなく、優先順位の高い機能から開発を進めることがポイントです。

 

② 設計

決定した要件をもとに設計を行います。ウォーターフォール開発のように細部まで設計を固めるのではなく、今後の仕様変更にも対応できるよう柔軟性を持たせた設計を行います。

 

③ 開発(実装)

短期間で機能を実装します。機能を小さく分割して開発するため、早い段階から動作確認が可能となり、不具合も見つけやすくなります。

 

④ テスト

実装した機能をすぐにテストします。毎回テストを実施することで、不具合や仕様漏れを早期に発見でき、大きな手戻りを防ぐことができます。

 

⑤ レビュー・改善

完成した機能を利用者やお客様に確認してもらい、改善点を次のスプリントへ反映します。このサイクルを何度も繰り返すことで、実際の利用状況に合わせたシステムへ成長させていくことができます。

 

ウォーターフォール開発との違い

ウォーターフォール開発とアジャイル開発は、それぞれ考え方が大きく異なります。ウォーターフォール開発は、要件定義の段階で仕様を固め、その内容に沿って順番に開発を進めます。途中で仕様変更が発生すると前工程へ戻る必要があり、追加の工数やコストが発生しやすいという特徴があります。

一方、アジャイル開発は、変更が発生することを前提としています。短期間で機能を開発・公開し、ユーザーからの意見や市場の変化に合わせて改善を続けるため、仕様変更にも柔軟に対応できます。

 

どちらにも長所と短所があり、「新しいからアジャイル」「昔からあるからウォーターフォール」という考え方ではなく、開発するシステムの特性や目的に応じて選択することが重要です。

 

アジャイル開発が向いているプロジェクト

アジャイル開発は、仕様変更や改善が頻繁に発生するプロジェクトに適しています。

例えば、次のようなケースです。

 

  • Webサービス
    ECサイト
    スマートフォンアプリ
    SaaS
    新規事業
    スタートアップ
    PoC(概念実証)

 

これらのシステムでは、市場の変化やユーザーの意見を取り入れながら継続的に改善していくことが求められます。

一方で、基幹システムや販売管理システム、生産管理システムなど、業務フローが明確で品質が最優先されるシステムでは、ウォーターフォール開発が採用されることが多くあります。

 

 

4.アジャイル開発のメリット・デメリット

アジャイル開発のメリット

アジャイル開発には、従来の開発手法にはない多くのメリットがあります。

 

柔軟かつスピーディーに開発できる

アジャイル開発では、短い期間で機能を実装し、すぐに改善へ反映します。そのため、市場環境やユーザーの要望が変化しても迅速に対応でき、競争の激しいWebサービスやアプリ開発では大きな強みとなります。

 

ユーザーの要望を反映しやすい

各スプリント終了時にレビューを実施するため、お客様や利用者からのフィードバックを次回開発へ取り入れやすくなります。例えば、「検索機能を改善したい」「操作画面をもっと分かりやすくしたい」といった要望にも、比較的短期間で対応できます。

 

リスクを早期に発見できる

テストやレビューを繰り返すことで、不具合や設計上の問題を早期に発見できます。問題が小さい段階で修正できるため、大規模な手戻りやリリース後の障害を減らせる点もメリットです。

 

チームのコミュニケーションが活発になる

アジャイル開発では、開発メンバー同士が日常的に情報共有を行います。短いサイクルで成果を確認しながら進めるため、チーム全体で課題を共有しやすく、開発スピードだけでなく品質向上にもつながります。

 

 

アジャイル開発のデメリット

一方で、アジャイル開発には注意すべき点もあります。

 

ゴールが曖昧になりやすい

初期段階ですべての仕様を決めないため、途中で方向性が変わる可能性があります。改善を繰り返すことはメリットですが、目的を見失うと開発期間が長期化する原因にもなります。

 

全体スケジュールを管理しにくい

短期開発を繰り返すため、プロジェクト全体の完成時期を見積もりにくいケースがあります。そのため、大規模な基幹システムでは採用が難しいこともあります。

 

チーム体制が重要になる

アジャイル開発では、お客様・開発会社・プロジェクトメンバーが密にコミュニケーションを取りながら進めます。そのため、意思決定が遅かったり、情報共有が不足したりすると、アジャイル本来のメリットを活かすことができません。

 

デメリットを軽減する方法

アジャイル開発の課題は、適切な運用によって軽減できます。

 

例えば、

プロジェクト開始時に全体のゴールを共有する
スプリントごとにレビューを実施する
タスク管理ツールで進捗を可視化する
定期的なミーティングで課題を共有する
優先順位を定期的に見直す

 

といった取り組みにより、柔軟性を維持しながら品質や進捗を管理できます。重要なのは、「アジャイル開発だから自由に進める」のではなく、短いサイクルの中でも計画的なプロジェクト運営を行うことです。そのため、ウォーターフォール開発と同様に、開発手法だけでなく、適切なプロジェクトマネジメントやコミュニケーション体制を整えることが、システム開発を成功させる鍵となります。

 

5.ウォーターフォール開発のメリット・デメリット

ウォーターフォール開発は現在でも多くの企業で採用されている開発手法ですが、すべてのプロジェクトに適しているわけではありません。特徴を正しく理解し、自社のシステムや目的に合った開発手法を選択することが重要です。

ここでは、ウォーターフォール開発のメリットとデメリットについて詳しく解説します。

 

ウォーターフォール開発のメリット

品質を確保しやすい

ウォーターフォール開発の最大のメリットは、品質を管理しやすいことです。各工程でレビューや承認を行いながら進めるため、設計ミスや仕様漏れを早い段階で発見できます。また、要件定義や設計を十分に行ったうえで開発を進めるため、完成したシステムの品質を一定に保ちやすいという特徴があります。

特に金融機関や自治体、医療機関など、高い信頼性が求められるシステムでは、この品質管理のしやすさが大きなメリットとなります。

 

スケジュールや予算を管理しやすい

工程ごとに作業内容が明確であるため、開発スケジュールや予算を管理しやすいことも特徴です。各工程の開始・終了時期が明確になることで、進捗状況を把握しやすくなり、開発会社だけでなく、お客様側でもプロジェクト全体の状況を確認しやすくなります。また、事前に要件や仕様を整理するため、開発費用の見積もり精度も高くなりやすく、予算計画を立てやすい点もメリットです。

 

ドキュメントが資産として残る

ウォーターフォール開発では、要件定義書や設計書、テスト仕様書など、多くのドキュメントを作成します。これらは開発中だけでなく、システムの保守・運用や将来的な改修の際にも重要な資料となります。例えば、担当者が変更になった場合でも、設計書や仕様書が整備されていれば内容を把握しやすく、スムーズな引継ぎが可能です。長期間利用する基幹システムでは、このようなドキュメントの整備が将来的な保守性にも大きく影響します。

 

ウォーターフォール開発のデメリット

開発途中で仕様変更しにくい

ウォーターフォール開発では、一度完了した工程へ戻ることを想定していません。そのため、開発途中で仕様変更が発生すると、設計の見直しやプログラム修正、テストのやり直しなど、多くの工程へ影響が及びます。結果として、追加の工数や費用が発生しやすくなる点はデメリットといえるでしょう。

 

初期の要件定義が重要になる

ウォーターフォール開発では、要件定義で決めた内容をもとにすべての工程が進みます。そのため、この段階で認識の違いや要件漏れがあると、後工程で大きな手戻りにつながる可能性があります。特に、お客様と開発会社の完成イメージが一致していない場合、「思っていたものと違う」といったトラブルが発生しやすくなります。

 

市場変化への対応は得意ではない

近年では、サービス開始後も継続的に機能改善を行うWebサービスやスマートフォンアプリが増えています。このようなシステムでは、ユーザーの反応を見ながら機能を追加・改善するケースが多いため、ウォーターフォール開発では柔軟性が不足する場合があります。市場の変化が激しいプロジェクトでは、アジャイル開発やハイブリッド型の開発手法を採用した方が適しているケースもあります。

 

ウォーターフォール開発が向いているケース・向いていないケース

ウォーターフォール開発は、次のようなケースで特に力を発揮します。

 

【向いているケース】

基幹システム
販売管理システム
生産管理システム
会計システム
官公庁・自治体向けシステム
医療システム
要件が明確な業務システム

 

これらは品質や安定稼働が重視されるため、計画的に開発を進めるウォーターフォール開発との相性が良いとされています。

一方で、

 

【向いていないケース】

Webサービス
スマートフォンアプリ
スタートアップの新規サービス
PoC(概念実証)
ユーザーの反応を見ながら改善するサービス

 

このようなプロジェクトでは、市場やユーザーの要望に応じて機能を改善することが多いため、アジャイル開発の方が適している場合があります。

重要なのは、「どちらが優れているか」ではなく、システムの目的や運用方法に応じて適切な開発手法を選択することです。

 

 

6.ウォーターフォール開発を成功させるためのポイント

ウォーターフォール開発は、計画的に進められることが大きな強みですが、その反面、初期段階の準備やプロジェクト管理が不十分だと、後工程で大きな手戻りが発生する可能性があります。

ここでは、ウォーターフォール開発を成功させるために押さえておきたいポイントをご紹介します。

 

要件定義を丁寧に行う

ウォーターフォール開発では、要件定義がプロジェクト全体の品質を左右するといっても過言ではありません。現状の業務フローや課題を整理し、「何を実現したいのか」「どのような機能が必要なのか」を明確にすることが重要です。また、システム部門だけでなく、実際に利用する現場担当者からもヒアリングを行うことで、要件漏れや認識のずれを防ぎやすくなります。

 

モックアップを活用して認識を合わせる

要件定義書や設計書だけでは、完成後の画面や操作イメージを十分に共有できない場合があります。そのため、画面イメージ(モックアップ)を活用し、お客様と完成イメージを共有することが効果的です。

実際に画面を見ながら確認することで、「思っていた操作と違う」「この項目も必要だった」といった課題を開発前に発見しやすくなり、後工程での手戻りを大幅に減らすことができます。

 

ANSでの取り組み

エイ・エヌ・エスでは、基幹システムや業務システムの開発において、ウォーターフォール開発を基本としながらも、要件定義の段階から画面モックアップを用いたご提案を行っています。文章だけでは伝わりにくい画面構成や操作イメージを早い段階で共有することで、お客様と開発担当者との認識のずれを減らし、設計品質の向上と手戻りの抑制につなげています。ウォーターフォール開発の計画性を活かしつつ、完成イメージを具体的に確認しながら進めることは、品質と開発効率の両立において重要なポイントの一つです。

 

レビュー体制を構築する

各工程でレビューを実施することも重要です。設計書やプログラム、テスト結果などを複数人で確認することで、誤りや改善点を早期に発見できます。レビューは品質向上だけでなく、知識共有や属人化の防止にもつながります。

 

ドキュメントを整備する

ウォーターフォール開発では、多くのドキュメントが作成されます。これらを適切に管理することで、保守・運用や将来的なシステム改修を円滑に進めることができます。特に、設計変更や仕様変更があった場合には、ドキュメントもあわせて更新し、常に最新の状態を維持することが重要です。

 

リスク管理を徹底する

プロジェクトでは、仕様変更やスケジュール遅延、技術的な課題など、さまざまなリスクが発生する可能性があります。そのため、定期的な進捗確認や課題管理を行い、問題が小さいうちに対応することが重要です。ウォーターフォール開発は計画的に進める手法ですが、「計画どおりに進めること」だけが目的ではありません。状況に応じて適切に見直しを行いながら品質を維持することが、プロジェクト成功への近道となります。

 

 

7.ウォーターフォールと他の開発手法との比較

システム開発にはウォーターフォール開発やアジャイル開発以外にも、さまざまな開発手法があります。それぞれ特徴や適したプロジェクトが異なるため、システムの目的や規模、開発期間などに応じて適切な手法を選択することが重要です。

ここでは、代表的な開発手法とウォーターフォール開発との違いについて解説します。

 

プロトタイプ開発

プロトタイプ開発とは、システムの完成版をいきなり開発するのではなく、試作品(プロトタイプ)を作成し、お客様に実際に操作してもらいながら改善を重ねる開発手法です。画面イメージや操作性を早い段階で確認できるため、「完成後にイメージと違った」というリスクを軽減できる点が特徴です。特に、新しいサービスやユーザーインターフェース(UI)が重要なシステムでは有効な手法とされています。一方で、試作品の作成にも時間やコストがかかるため、プロジェクトの内容によってはウォーターフォール開発の方が効率的な場合もあります。

 

スパイラル開発

スパイラル開発は、要件定義・設計・開発・テストを繰り返しながら、少しずつシステムを完成させる開発手法です。アジャイル開発と似た側面がありますが、スパイラル開発では各工程ごとにリスク分析や評価を行う点が特徴です。大規模システムや、新しい技術を採用するプロジェクトなど、不確定要素が多い開発で採用されることがあります。ただし、複数回の工程を繰り返すため、プロジェクト管理が複雑になりやすく、経験豊富なプロジェクトマネージャーが求められます。

 

DevOps

DevOps(デブオプス)は、「Development(開発)」と「Operations(運用)」を組み合わせた考え方です。従来は開発チームと運用チームが分かれていることが一般的でしたが、DevOpsでは両者が連携しながら継続的な改善を行います。自動テストや自動デプロイ(CI/CD)を活用することで、品質を維持しながら迅速なリリースを実現できることが特徴です。クラウドサービスやSaaSなど、頻繁なアップデートが必要なシステムでは広く採用されています。

 

ハイブリッド開発

近年では、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の長所を組み合わせた「ハイブリッド開発」を採用する企業も増えています。例えば、基幹システム全体はウォーターフォール開発で進めながら、一部の画面や周辺機能についてはアジャイル開発を取り入れるといった進め方です。この方法により、システム全体の品質や計画性を維持しつつ、変化が予想される機能には柔軟に対応できます。近年のシステム開発では、プロジェクトの目的や業務内容に応じて複数の開発手法を組み合わせるケースも珍しくありません。重要なのは、「どの開発手法が優れているか」ではなく、「どの開発手法がお客様の課題やシステムに適しているか」という視点で選択することです。

 

8.よくある質問(FAQ)

 

ウォーターフォール開発は古い開発手法ですか?

ウォーターフォール開発は歴史のある開発手法ですが、現在でも多くの企業で採用されています。特に基幹システムや業務システムなど、高い品質や安定性が求められるシステムでは、現在も主流の開発手法の一つです。

 

アジャイル開発の方が優れているのでしょうか?

一概にそうとはいえません。

アジャイル開発は仕様変更への柔軟性に優れていますが、品質管理やスケジュール管理を重視するプロジェクトではウォーターフォール開発が適している場合があります。

重要なのは、開発手法の優劣ではなく、システムの目的や運用方法に合わせて選択することです。

 

基幹システムにはどちらが向いていますか?

販売管理システムや生産管理システム、在庫管理システムなどの基幹システムでは、ウォーターフォール開発が採用されるケースが多くあります。

要件が比較的明確であり、品質や安定稼働が重視されるため、計画的に開発を進められるウォーターフォール開発との相性が良いとされています。

 

開発途中で仕様変更はできますか?

可能ですが、ウォーターフォール開発では設計や開発が進んでいるほど影響範囲が大きくなります。

仕様変更に伴い、設計やプログラム、テストの修正が必要になる場合もあるため、追加の工数や費用が発生することがあります。そのため、開発開始前の要件定義を丁寧に行うことが重要です。

 

システム開発会社はどのように選べばよいですか?

開発実績や技術力だけでなく、要件定義や設計の進め方、保守・運用体制まで含めて確認することをおすすめします。

システムは開発して終わりではなく、運用開始後も機能追加や法改正対応、障害対応などが継続的に発生します。

そのため、長期的なパートナーとして安心して任せられる開発会社を選ぶことが重要です。

 

 

9.お客様の業務に合わせた最適なシステム開発

システム開発を成功させるためには、「ウォーターフォール開発」「アジャイル開発」といった手法だけに着目するのではなく、自社の業務内容やシステムの目的に適した開発方法を選択することが重要です。

例えば、基幹システムや業務システムのように品質や安定稼働を重視する場合はウォーターフォール開発が適しているケースが多くあります。一方で、Webサービスやスマートフォンアプリなど、市場の変化やユーザーの声を反映しながら改善を続けるシステムでは、アジャイル開発やハイブリッド開発が適している場合もあります。

 

 

エイ・エヌ・エスでは、お客様の業務内容や課題を丁寧にヒアリングしたうえで、最適な開発手法をご提案しています。販売管理システムや生産管理システムなどの基幹システムをはじめ、業務システムやWebシステムまで幅広い開発実績があり、要件定義から設計・開発・保守・運用まで一貫してサポートしています。

また、開発工程では、お客様との認識のずれを防ぐため、要件定義の段階から画面モックアップを活用し、完成イメージを共有しながらプロジェクトを進行しています。さらに、システム稼働後の保守・運用や機能追加、将来的な再構築まで見据えた体制を整えているため、長期的なパートナーとしてご相談いただくことが可能です。

 

「自社にはどの開発手法が適しているかわからない」「既存システムを刷新したい」「他社が開発したシステムの保守も含めて相談したい」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひエイ・エヌ・エスへお気軽にご相談ください。お客様の業務や将来の事業計画を踏まえ、最適なシステム開発をご提案いたします。

 

 

 

 

  • 株式会社エイ・エヌ・エス 常務取締役

    システムインテグレーション事業部 第1グループ長 プロジェクトマネージャー

    H.W

    1989年、株式会社エイ・エヌ・エスに入社。
    入社後、SEとしての技術力と営業力を磨き、多くのプロジェクトに参画。
    要件定義から設計・開発、運用まで、上流から下流工程を幅広く経験する。
    現在はプロジェクトマネージャーとして、大規模プロジェクトを数多く成功に導く。
    「システムの導入効果を最大限感じてもらうこと」をモットーに、
    顧客特性に応じた最適なシステム提案を心がけている。



 

 

お客様の業界・課題に合った事例や支援内容も個別にご提案可能です。
まずはお気軽にご連絡ください。

「システム開発におけるウォーターフォールを解説:工程ごとの特徴と他手法との比較も」に関連する記事

DXの推進を実現させるオーダーメイドの業務システム開発

DXの推進に求められている現代において
必要不可欠な”システム”業務に合った
最適なオーダーメイドのシステムを導入することで、
DX推進を支援します。