Column お悩み解決コラム

突然の“保守打ち切り”がもたらすリスクと、備えるべき選択肢
近年、開発会社の倒産やエンジニアの流出により、システムの保守が継続できなくなるケースが相次いでいます。
特に、企業の業務を支える基幹システムが「孤児化」する事態は、業務継続に深刻な影響を及ぼします。
本コラムでは、システム保守が突然停止してしまう背景、孤児化によって企業が直面するリスク、そして私たちが提供する「保守引継ぎサービス」についてご紹介します。
◆増加する“保守切れ”――背景にある開発会社の変化
IT業界では近年、開発会社の経営環境が急速に変化しています。人材不足やM\&A・事業再編といった要因により、特に中小規模の開発会社がサービスを維持できなくなり、突然業務を停止してしまうケースが増加しています。
また、特定のエンジニアに依存した開発体制で作られたシステムでは、その技術者が退職したり、病気などで現場を離れた途端に保守継続が困難となることもあります。
さらに、古い言語や構成で作られた“レガシーシステム”は、若手エンジニアが扱いにくいため、引き継ぎ先が見つからないまま放置されてしまう傾向もあります。
このような背景のもと、私たちのもとには「開発会社が突然いなくなってしまった」「仕様書がなく、他社に断られてしまった」といったご相談が寄せられています。
企業にとって、システム保守の打ち切りは決して他人事ではなくなっているのです。
◆システム孤児化が引き起こす経営的リスク
開発元の支援が得られなくなったシステムは、“孤児システム”と呼ばれます。
この状態になると、以下のようなリスクが現実化します。
①障害発生時に即時対応ができない
業務中に突然システムが停止しても、復旧できる技術者がいないため、業務が完全にストップしてしまう危険があります。時間をかけて新しいベンダーを探し、状況を解析してもらう頃には、すでに多大な損失が生じているかもしれません。
②改修・法対応が不可能に
法改正や社内の業務変更など、企業活動にあわせてシステムも柔軟に対応する必要があります。しかし、保守担当がいないシステムでは、追加開発や機能変更ができず、業務プロセスが硬直化。非効率や属人化が進み、競争力を損なう恐れがあります。
③セキュリティと信頼性の低下
脆弱性の対応が行われない、古いソフトウェアが使い続けられるといった状態は、セキュリティリスクを著しく高めます。特に、基幹業務システムで個人情報や機密情報を扱っている場合、サイバー攻撃の対象になれば企業の信頼失墜に直結します。
このように、システムの孤児化は単なるIT部門の課題ではなく、事業継続・収益・企業信頼性を脅かす経営リスクそのものなのです。
◆安心して任せられる「保守引継ぎサービス」という選択肢
こうしたリスクを回避するため、弊社では「システム保守引継ぎサービス」を提供しています。
これは、既存の開発会社が保守を継続できないシステムに対し、弊社が中立的な立場で解析・引継ぎを行い、新たな保守体制を構築するサービスです。
まず、現行システムのソースコードやデータベース、業務仕様を徹底的に調査・解析します。ドキュメントが不足している場合でも、システム概要を確認し、業務ヒアリングを通じて、保守可能な状態にまで整備します。
レガシー言語やオンプレ環境にも対応しており、Access、VB、COBOLなど、他社が敬遠しがちな技術にも実績があります。
保守体制の構築後は、必要に応じて将来的なシステム再構築のご提案も行います。システムの継続利用を前提にした「守りの支援」だけでなく、業務改善やIT戦略となる「攻めの支援」にもつなげることが可能です。
すでに製造業や小売業などさまざまな業種で、システム引継ぎと保守再開を実現しており、「業務を止めることなく保守が再開できた」「むしろ以前より安定運用になった」とのお声を多数いただいています。
「このままで大丈夫だろうか?」と少しでも感じられる場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
弊社では、現状の簡易診断や初期調査も承っております。小さな懸念を早めに手当てすることで、大きなトラブルを防ぐことができます。
システムという“企業の心臓”を守るために、信頼できるパートナーとして、私たちがお手伝いします。
システムに関するお悩みはぜひお気軽にお問い合わせください。
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